鏡に向かってスピーチを練習しよう!の落とし穴

本当の自分のプレゼン姿を確認するなら鏡ではなく動画一択

スピーチを練習するプロセスにおいて、自分が発表する様子をチェックすることは欠かせません。確かに鏡は自分の表情や姿勢がよくわかりますが、スピーチやプレゼンの練習で鏡に映る自分は「無意識に見栄えを修正済の姿」です。プレゼンチェックには動画を使いましょう。

鏡は真実を映さない、という不都合な真実。

鏡はプレゼンターの真の姿を映しません。練習で自分のプレゼン姿を鏡に映した時には、既に顔の表情や姿勢、身体や頭の傾き、手の位置や重なりなど、ボディランゲージ(body language)の重要な要素は既に無意識に修正されています。この「鏡の妙」は、スピーチの練習をする際には覚えておくべき不都合な真実です。

毎朝鏡に映った自分を見た時は「今日は何だか疲れているなぁ」と感じても、メイクをしたり髪形を整えて、お出かけ前に鏡を見る時には「無意識にちょっといい表情をしている自分」が鏡に映るはずです。鏡はリアルタイムな気持ちを反映しますから、自分が鏡を見た瞬間は良くても、他人から見ていつもそう見えているかは保証されません。

スピーチ練習のために鏡を使うと、ボディランゲージが上手に見える(見えてしまう)のは、このリアルタイムな反応によるもの。鏡を使うと自分の都合よく臨機に修正されてしまいます。ゆえに初めて自分のプレゼン動画を撮影すると「こんなに自信なさそうに見えていたのか」と感じることもあるでしょう。

これまで、鏡の前でスピーチを練習をするのは定番のトレーニング法でした。でも今はスマホで簡単に動画が撮れる時代です。いつも動画を使いましょう。

横位置で撮影して大きなモニターやスクリーンで確認

撮影の際は基本的に横位置(横動画)で撮影し、腰付近(手が収まる高さ)から頭の先までを収めるように画角を調整します。縦動画(ポートレートモード)でも構いませんが、縦位置ではパソコン画面で再生する際に解像度を有効に使えないことと、横位置のほうが周囲の雰囲気を含めて録画できることから、横位置をお勧めします。

あまり下から見上げるような角度で撮影すると自然な映像になりませんから、スマホを設置する高さが低くなりすぎないように注意しましょう。

再生して確認する際はスマホの小さな画面ではなく、PCの大きなモニターや、教室のプロジェクターでチェックするのが望ましいです。大画面で動画を確認すると、不自然な目や眉毛の動き、手の小さな揺れなど、いわば「見たくない場所」までハッキリ見えます。それを見逃さず確認することに意味があります。

私が学生を指導する際には、顔が画面いっぱいになるように撮影する場合もあります。100インチのスクリーンいっぱいに自分の顔面が映し出されると例外なく学生は嫌がります。しかし大画面だからこそ、笑顔の際の目尻や口角が自然か、アイコンタクトで目線に不安定な動きやブレがないか、などを極めて詳細に確認して修正できます。

スマホで動画撮影→YouTubeにアップロード→PCの大画面でチェック

同じスピーチやプレゼンを何度も繰り返し練習していると、本当に上達しているのかが自分では分からず不安になります。そんな時のために、YouTubeに動画履歴を残すことをお薦めします。練習の初期段階からスマホで動画を撮影し、そのままYouTubeの非公開アカウントに毎回アップロードしておくのです。

非公開アカウントであれば誰にも見られませんし、限定公開URLを共有して先生や友人にコメントをお願いすることもできます。何より練習に行き詰まったときに、初期の自分を動画で振り返ることで、上達や努力のあゆみが確認できて自信がつきます。

プレゼン練習における動画の活用法はいろいろありますが、大前提は「鏡より動画」です。鏡像=虚像とまでは言いませんが、鏡には「見たいと思う自分の姿」が映っているだけ(かも)、というリスクは覚えておきましょう。

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