Q. 英語スピーチのユーモアで聴衆を笑顔にしたい
「冗談を言っても聴衆にスルーされるのはなぜですか?」

Question ▶ 英語のプレゼンではジョークが大切だと聞きました。がんばって冗談を言ってみても会場がウケない場合はどうすれば良いですか?

Answer ▶ 英語でスピーチをする際のユーモアは、爆笑を狙うものではありません。無理に気の利いたジョークを言う必要はなく、自分自身のユーモラスな部分を知ってもらおうという気持ちで、楽しそうに話すことが大切です。
「スルー」ではなく、心の中でウケている(はず)。
ユーモアやジョークのことを考える余裕があるということは、スピーカーとして既に中級~上級レベルにあるのでしょう。そんな人には、まずスピーチの基本を思い返してもらうと、ユーモアにも自信が生まれます。
スピーチやプレゼンは、聴衆に楽しんでもらうために発表するものですが、この「楽しい」はゲラゲラと笑う楽しさではありません。あくまでも、スピーカーと聴衆が同じ関心を寄せあい、「なるほどな」と思う楽しさを聴衆に届けるのが目的です。そのためには、ジョークやユーモア以前に、スピーチの内容(contents)や話し方(delivery)に気を配るのが本筋です。
そのうえで、ユーモアはどのような位置づけかを考えてみましょう。いわゆるスピーチで目指すべき「笑い」は、落語や漫才のような大きな笑い声を獲得することではなく、聴衆が心の中で「ふふふ」と笑顔になれるような「かすかな笑い」が出れば、もう大成功です。話者のユーモアによって、聴衆の心が少しだけ開く感覚が得られれば、ユーモアの役目は十分に果たしたと言えるのです。
スベったら "Joking aside," で切り抜けて!
スピーチのユーモアや冗談は、検索すれば色々なサンプルが見つかります。しかし、誰かのお手本のコピーでは、その語りの調子を真似るのが難しいうえに、そもそも自分の言葉ではないので気持ちがこもらず、聴衆も反応しずらくなって結果的にスベります。
慣れるまでのオススメは、自分がユーモラスだと感じている自分の一面を、そのまま自分の言葉で簡潔に話すことです。たとえば、次のような簡単な文章でも、スピーチの冒頭で、笑顔でユーモラスに話せば十分に冗談として通用するでしょう。
- As this is an important meeting, I set three alarm clocks to wake me up. And successfully, I'm here with you now.
→ これはとても大切な会合なので、目覚ましを3つかけました。めでたく皆さんにお会いできました。 - Thank you very much for the great introduction about me. It was much, much better than I really am, however.
→ 私についての素晴らしいご紹介をありがとうございます。でもどうやら、本当の私よりもずっとずっと素晴らしい紹介だったようで。 - I hear good English speeches are always short, and I'm going to follow the rule as you expect.
→ 優れた英語スピーチは常に短いそうですね。皆さんのご期待に応えて、私はそのルールに従います。
がんばって冗談を言っても何の反応のない時には、魔法の言葉があります。それが "Joking aside," [冗談はさておき]です。これを言えば、その前の言葉が冗談であったことが明確になるので、とりあえず笑ってもらえます。繰り返しますが、大きな笑いでなくて良いのです。「ふふふ」という笑みで、聴衆の表情が柔らかくなることを目指しましょう。
最後にひとつ気を付けるべきことがあります。それは、「冗談なら冗談だと分かるように話すこと」です。そうしないと、聴衆は冗談なのか単なる説明なのかが理解できず、反応に困ってしまいます。
ユーモアは、とにかく笑顔で楽しそうに話すこと。それによって、実際に話す言葉以上に、聴衆との距離を縮めてみてください。慣れるほどに、聴衆の笑顔を感じ取れるようになるはずです。