プレゼンでは少し低めの声が説得力を高める
声の高さが説得力に影響を与えるという現実を意識する

「堂々とした語り」という印象を分解すると、そこには「低い声」が存在します。実際に、そのスピーカーに自信があるかどうかは関係ありません。プレゼンやスピーチでは、とりあえず「お腹から低めの声を出す」。これだけで、その人が醸し出す説得力が高まります。
リーダーシップを象徴する低い声を出そう
キャンキャンと響く高い声より、豊かに響く低い声の方が落ち着きを感じます。言われてみれば当然のことですが、これが大切なスピーチやプレゼンの本番となると、緊張のためか忘れがちになります。声の高さについて、特に低い声は聴衆の心をひきつける大切な要素です。
人が誰かをリーダーとして認識する時、低い声がその判断に有利に働くという興味深い研究があります(Tigue et al., 2012; Klofstad et al, 2012)。Tigue他とKlofstad他の研究はいずれも、声の低さがリーダーの選択にプラスに作用すると指摘しています。当然ながら女性の声は男性よりも高いですから、女性は特に意識して低い声を出すことが大切だといえるでしょう。
とはいえ、スピーカーは特に難しいことを考える必要はありません。とにかく普段より低い声を出す。これだけです。もちろん、そのためには腹式呼吸の練習やボイストレーニングが必要ですが、低い声を出すだけで説得力が上がるなら、実践しない理由はありません。
声の高さを意識して耳に優しいスピーチを
「低い声で落ち着いた語り」といえば、スピーチの名手として語り継がれるキング牧師(Martni Luther King Jr.)やオバマ元アメリカ大統領が思い出されます。彼らの演説は、テノール調で低く豊かな声が印象的でした。
低い声を使う大切さは、もちろん政治家やビジネスリーダーに限った話ではありません。日常的な小さなプレゼンから、英語弁論大会の全国決勝に至るまで、どこでも役に立につ発表技法(デリバリー)の応用術です。
落ち着いた低めの声で、耳に優しく響くスピーチは、話者の自信を"演出"します。"演出"と書いたのは、スピーカー本人に、実際に自信があるかどうかは関係ないからです。自信がなくても、緊張していても構いません。とにかく低く豊かな声で語りかけることを心がけましょう。
最後にもうひとつ。「ゆったりと」とか「落ち着いた」という表現は、話すスピードも大きく関係します。特にスピーチの出だしはゆっくりと始めてください。低く豊かな声とともに、印象的なスピーチになるはずです。
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(References)
▶ Tigue, C. C., Borak, D. J., O'Connor, J. J. M., Schandl, C., & Feinberg, D. R. (2012). Voice pitch influences voting behavior. Evolution and Human Behavior, 33(3), 210-216.
▶ Klofstad, C. A., Anderson, R. C., & Peters, S. (2012). Sounds like a winner: Voice pitch influences perception of leadership capacity in both men and women. Proceedings of the Royal Society B, 279, 2698-2704.