演台ではマイクを無視して聴衆に語りかける
演台のマイクは「たまたまそこにあるだけ」の存在

大会議室やスピーチコンテストの会場には、演台が用意されています。演台には卓上スタンド型のマイクが備え付けられていますが、そのマイクに向かって話をしようとすると、姿勢が乱れ、声もこもります。演題ではマイクを無視して堂々と立ち、聴衆に向かって豊かな声で話しましょう。
演台のマイク角度をスマートに調節する
演台に立ったら、まずはマイクが自分の口を向くように角度を調整します。マイクの種類よっては指向性(特定の方向の音を強く拾う性質)があるので、マイクの角度を調整するのは意外に大切です。
角度調整の際、マイクのスイッチが入っているかどうかも確認します(スイッチのないマイクもあります)。マイクが動作していれば、角度調整の際にマイクを触る音が会場に聞こえるはずです。この時、手のひらでドンドンとマイクを叩く人がいますが、音響設備を傷めますのでやめましょう。
ハンドマイクを卓上用のスタンドに固定している場合、角度以外にスタンドの高さも調整できます。ただし、高さ調節は手間もかかりますし、ゴトゴトと雑音が会場に響きますので、余程の問題が無い限り角度調節だけで済ませる方がスマートです。
あとは演台のマイクを無視して聴衆と向き合う
聴衆はマイクの中にはいません。聴衆はマイクを越えたところにいます。スピーチをする際には、目の前のマイクに話しかけるのではなく、会場の聴衆に語りかけてください。マイクを無視して聴衆に語り掛ければ、整った姿勢と豊かな声が、しっかり聴衆に届きます。
とはいえ、演台でのスピーチに慣れていないと、つい無意識にマイクに向かって話そうとしてしまいます。そうなると姿勢が前かがみで猫背になり、話者に自信がないような印象を与えます。
また、マイクに向かって話してしまうと、マイクと口の距離が必要以上に近くなって、こもった音質になります。マイクと口は常に20cm~30cmほど離して、見た目の姿勢とともに、声の音質も最善の状態を保ちましょう。
演台には、細長い首が特徴的な「グースネックマイク」が備え付けられていることがあります。グースネックマイクは指向感度が高く、通常のハンドマイクよりもしっかり声を拾います。演台にこのマイクがある時は、マイクとの距離が近くなりすぎないようにしましょう。
マイクは小さな声を豊かな声には変換しない
マイクは拡声器と呼ばれますが、小さな声を豊かな声に変える機械ではありません。マイクは、小さな声を「小さく弱い声のまま」大きな音にする困った機械です。ゆえに「声が小さくてもマイクがあるから大丈夫」という考え方は、スピーチやプレゼンの発表者にとっては危険です。
マイクは「豊かな声は豊かなまま」「弱い声は弱いまま」大きく強調します。このマイク特性を利用してデリバリーに応用する技術を「マイクコントロール」(mic control)と呼びますが、意図しない形でマイクの特性が発揮されてしまわないよう注意してください。
そもそもマイクは突然故障するものです。日頃から過剰にマイクに頼るのはやめて、マイクが無くても十分と思えるほどの声が出せるよう、発声練習を続けることが大切です。