【 100本ノック 】語りの素振り練習が実戦で差をつける
100通りの“語り”を1分間スピーチの反復練習で身につける

単に英語を喋ることと、英語で語ることは違います。日本語話者が皆、プロのナレーターのように上手な日本語の語り手ではないように、英語を「喋る」から英語で「語る」への転換には意識的な訓練が必要です。そこで役立つのが、100種類のショートスピーチを用いた反復練習。通称「100本ノック」です。
繰り返し真似ることで「語りのリズム」を獲得する
私の研究室には毎年新しいゼミ生が加わります。スピーチの初学者である彼らが最初に取り組む練習が『すぐに使えるビジネス英語スピーチ100』(亀田尚己・清水利宏 著)を使った100本ノックです。この反復練習を通じて、終始単調な「ベタ読み英語」から脱却し、本格的なスピーチやプレゼンテーションに必要な「語り」を手に入れていきます。
スピーチやプレゼンの初心者を悩ませる「ベタ読み英語」には次のような(望ましくない)特徴があります。
- 音読の切れ目や息継ぎ箇所が不規則
→ ゆえに、キレがなくダラダラと続く音読になる。 - イントネーション(抑揚)がない
→ ゆえに、全体的に単調で変化に乏しくなる。 - 大切な単語の強調が不十分
→ ゆえに、伝達すべきポイントが不明瞭になる。
これらを克服するために、同書に収録された100本のショートスピーチを使って次のように練習します。特に、自然な「切れ目」「イントネーション」「強調表現」 を意識します。
100本ノックの練習法
- リスニング (listening)
原稿を見ながらCDをよく聴き、語りの特徴を耳でとらえる。 - オーバーラッピング (overlapping)
原稿を見ながらCDを聞き、CD音声と同時進行でその語りを真似る。 - シャドウイング (shadowing)
原稿を見ずにCDを聞き、聞こえた通りの語り口調を再現する。 - スピーキング (speaking)
そのモデルスピーチの発表者のつもりで語ってみる。
まずはクセのない自然な「語り」から練習しよう
大統領の就任演説や著名人のプレゼンを「語りの手本」とするのも悪くはありませんが、それらは初心者向けの練習素材としては、やや特徴が際立ちすぎる傾向があります。最初は、普遍的で自然な語りをマスターする。そのうえで、特徴的な感情表現へと段階的に練習を進めると、クセが無く聞きやすい語りが身につきます。
『すぐに使える ビジネス英語スピーチ100』に付属の音声CDは、応用の利く「自然な語り」に徹して録音しました。各スピーチは1本あたり約1分。就任祝いから弔辞、支社開設の祝辞から工場閉鎖の告知まで、あらゆるジャンルが100種類もあるので毎日練習を続けても飽きないはずです。
プロの野球選手でも毎日の素振りは欠かしません。それと同じく、みなさんも本書を活用した100本ノックを実践し、スピーカーの基礎体力ともいえる「自然な語り」を磨いてください。
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