強いプレゼンを実現するのはスピーチの基礎力
プレゼンテーションはスピーチの延長線上にある技術

スピーチとプレゼンは、異なる作業だと思われることがあります。確かにスピーチに必要なのはマイク1本。一方のプレゼンはスライドや配布資料、機器の準備など大がかりです。でもこの二者は、どちらもスピーチを軸とした同様の技術です。
スピーチもプレゼンも、英語では"presentation"。
言葉遊びではありませんが、スピーチもプレゼンも、どちらも英語では"presentation"。英語でいうプレゼンテーションという言葉は、人前で自分の考えを発表する行為という意味を持ちます。
でも日本語で「プレゼン」というと、多くの場合パワーポイントのスライドを併用したプレゼンを思い浮かべます。ゆえに「プレゼンの準備」となれば、真っ先にパワポを立ち上げる人が出てきます。でもこれは望ましいことではありません。プレゼンの準備で第一に取り組むべきは、スピーチと同じく「内容の構成」を検討することです。
何らかの目的があるからプレゼンをするわけで、それはスピーチでも同じです。パワーポイントを活用したプレゼンであれ、身体ひとつで行なうスピーチであれ、自分の主張を聴衆に訴求するという点は変わりません。その意味において、スピーチとプレゼンは同じ使命を負っています。
PowerPointスライドは単なる視覚補助と心得る
スピーチとプレゼンの大きな違いはスライドの有無ですが、ここから誤解が生まれます。両者の違いがスライドの有無にあるからこそ、プレゼンではスライドが何より大切と思ってしまうのです。
PowerPointスライドのような映写物を、英語で"Visual Aid"(視覚補助)と呼びます。この表現からもわかる通り、プレゼンにおけるスライドは、主役のように見えて実はスピーチを補助するオマケに過ぎません。まずは「プレゼン=スピーチ」だと認識して、主役は(スライドではなく)自分自身なのだと意識しましょう。
プレゼン=スピーチであればこそ、まず考えるべきは話の「内容」(content)であり、それに続く「発表技術」(delivery)の向上です。内容と発表技術は、英語スピーチコンテストの審査にも共通する最重要項目です。プレゼンも、結局は「スピーチそのものの質」が命なのです。
当研究室の学生は、スピーチ大会だけでなく英語プレゼンテーションコンテストにおいても全国入賞を続けています。その秘訣は、プレゼンテーションの基本がスピーチにあることを理解しているからでしょう。
プレゼン上達のカギは、スピーチ技能にあり。スライドを準備する前に、ぜひ思い出してください。