【Speech Mind】スピーチ・マインド

独自の視点を尊重する生き方で唯一のスピーカーになる

社会課題と向き合うすべてのスピーカーに大切にしてほしい概念が「スピーチマインド」(Speech Mind)です。ひと言で説明すれば、他人と違うことを志向する意識です。人と違うモノの見方をする。人と違う表現をする。ひいては「人と違う生き方を目指す」というレベルにまでたどり着く人もいます。

自分ならどうするか。自分なら何ができるか。

人の心に残るスピーチは、何らかの新しさがあります。人と同じところ、人と同じ価値観の中に、新しさは生まれません。スピーカーとして忘れてはならないのは「違うことを重んじる」というスピーチマインドの思想です。

著書『すぐに使える ビジネス英語スピーチ100』(p. 3)では、スピーチ・マインドを次のように説明しました。

(1) 身の回りの出来事に関心を持ち、
(2) いくつかの視点から観察をして、
(3) 自分の意見を「具体的な言葉」で表現・描写する経験を積むこと。

別の言い方をすれば、(1) 森羅万象に興味を持ち、(2) 多角的にモノを見て、(3) 具体性のある表現で言語化すること。それを常に心に留める意識が「スピーチ・マインド」です。

たとえば説得型のスピーチ(persuasive speech)に取り組むとき。既存の社会の枠組みにあって、自分ならどの問題とどう向き合うか、また自分なら今何ができるかを自分自身に問いかけるのも、スピーチ・マインドがあってこそです。

「スピーチは、生き方そのもの」という哲学。

スピーチの言葉には、話者の人生が反映されます。中学生には中学生の、高校生には高校生の、そして大学生には大学生のその時の精一杯が、スピーチに詰まっています。人生それぞれのステージにおける社会との向き合い方や葛藤が、その時その時のスピーチのメッセージに息づいています。

私の研究室に所属した学生が最初に学ぶのも、この「スピーチ・マインド」の大切さです。これからの日々、何をどう考えるか、どう社会と向き合うかという意識が、スピーチ活動の枠を超え、それぞれの人生を決めていくきっかけになるからです。

ゼミでスピーチ活動に打ち込んだのちに卒業し、良き「出る杭」となって逞しく社会で活躍する卒業生の便りに触れると、スピーチ・マインドの意味を思い返します。スピーチ・マインドには、ひとり一人の人間力を強くする力があります。

人と違うスピーチをしたい!と思った時には、ぜひ心に留めておいてください。

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