学術論文|"Award-Winning Pair Presentations Explored: A Statistical View"

日本国際情報学会編『国際情報研究』第20号|2023年12月

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2人で発表する「ペア・プレゼンテーション」はいかにして「ペア」である意味を成すのか。その問いに応えた清水の研究論文が、日本国際情報学会 学会誌『国際情報研究』第20号(2023年12月発行)に掲載されました。ソロ・プレゼンとは異なり、ペア・プレゼンを決定づける3ブロック構造は「起承転結」ではなく「起転結」。その発見を、時系列分析によって立証しました。
▶ 論文DOI https://doi.org/10.11424/gscs.20.1_66

会話調&起転結。ペア・プレゼンの原点の視覚化で実証

本論文"Award-Winning Pair Presentations Explored" [受賞ペア・プレゼンテーションを探る] (Shimizu, 2023)は、ペアで発表するプレゼンテーションに特有の「3ブロック構造」を提起したものです。

研究で着目したのは、2者の会話スクリプトの単語数のバランスです。この推移を時系列で視覚化した考察を試みました。さらに、それを時系列自己相関分析を用いて周期性を探りました。

分析の結果、1人で発表する「ソロ・プレゼンテーション」(Shimizu, 2020)とは対照的な特徴が浮き彫りになりました。それは、徹底した「会話調」の維持と、従来の「起承転結」を覆す「起・転・結」という独自の3ブロック構造です。

ペア・プレゼンでは、冒頭から速やかに議論を展開し、中盤の「転」によって「ペアで展開される会話のストーリー」に大きな山場を作るのが、この「起転結」構造が持つ強さである、と論じています。本論文では、その「転」が立ち上がる場所を「誘発点」(trigger)と呼んでいます。

豊富な受賞実績を持つ当研究室ならではの分析素材

「優れた」ペア・プレゼンの特徴を明らかにするため、本研究で用いた分析テキスト(研究素材)は、本研究室所属の学生が全国大会の舞台で入賞を収めた「優れた」ペア・プレゼンテーションのスクリプト(発表原稿)です。

英文毎日杯・森田杯 ペアで紹介する 日本文化英語プレゼンコンテスト」(京都外国語大学 外国語学部 英米語学科 主催)で、当研究室の学生が獲得した優勝(2021年)準優勝(2018年)3位(2022年)の受賞原稿3本(約3,600語)を、言語統計分析および時系列分析によって考察しました。

教育で得られた成果を次の研究分析に活かし、その研究で得られた知見を次の教育に反映する。こうした理想を達成するための環境が、本研究室には整っています。

論文要旨 (転載)

本研究は、英語のペア・プレゼンテーションについて、言語統計や時系列分析からその特徴的な構成要素を明らかにし、優れたペア・プレゼンの本質的特徴を探るものである。分析では、優れたペア・プレゼンを選出する全国大会で優勝・準優勝・3位を受賞した発表原稿3本(各10分間)を素材とした。言語統計処理では定量的観察による類似性の検証や、優れた単独スピーチを分析した先行研究との比較によって、ペア・プレゼンに特有の構成要素を考察した。続く時系列分析では、ペア2名の発話語数差分の時系列的推移に着目し、データとグラフによる数値的・視覚的な議論を経て時系列自己相関分析による統計的検証を実施した。その結果、研究対象とした受賞ペア・プレゼンでは10分間で平均66回の役割交代があるほか、1分間の発話語数(WPM)は平均120語を超えて単独スピーチよりも多く、1文あたりの語数(WPS)は平均9語以下で単独スピーチより少なかった。ゆえに優れたペア・プレゼンは、発表内容を機械的に分担するのではなく、自然な会話型の物語を成していると推定できた。また時系列分析では、全体を3分割する分量で統計的有意な周期リズムが確認され、さらに発表の中間部で話題の転換を促す「誘発点」が3つの原稿に共通して観察された。ここから、優れたペア・プレゼンの構造は、日本型の起承転結や、英語圏型の起・承・結ではなく、「起・転・結」の3分割構成であることが示唆された。
Keywords Pair presentation contest, Speech communication, Storytelling, Time series analysis, Autocorrelogram


(References)
Shimizu, T. (2020). A statistical analysis of award-winning speeches. Mukogawa Literary Review, 57(1), 29-53. [リンク]
Shimizu, T. (2023). Award-winning pair presentations explored: A statistical view, Kokusai Joho Kenkyu [The Journal of the Japanese Society for Global Social and Cultural Studies], 20(1), 66-77. [リンク]


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