優勝・森田杯|"Osusowake: The Complex Exchange of Goodwill"
第17回 森田杯・英文毎日杯 ペアで紹介する日本文化英語プレゼンコンテスト|2023/12/16 京都外国語大学

2023年12月16日(土曜日)、「第17回 森田杯・英文毎日杯 ペアで紹介する日本文化英語プレゼンコンテスト」(主催:京都外国語大学 外国語学部英米語学科、後援:京都市・毎日新聞社ほか)の全国決勝大会が京都外国語大学(京都市)で開催され、当研究室所属の4年生ペアが優勝し、森田杯を獲得しました。
京都外大プレコンにおいては、2021年の優勝に続く2回目の森田杯獲得です。そのほかにも、2018年には準優勝、2022年にも3位入賞など、当研究室の学生が上位入賞を続けています。
おすそわけの背後にある善意と悪意を言語化
今回、優勝(森田杯)を獲得したペアの演題は "Osusowake : The Complex Exchange of Goodwill" [おすそわけ:ややこしい善意の交換]。主題は、日常的にどこでも見かける「おすそわけ」です。
おすそ分けをする側、受ける側、どちらにもそれぞれの本音があります。本当に相手を思っての贈り物か、あるいは単に不要だから誰かに渡して処分するのか…。あまり表で議論されることのないお裾分けの本音をドラマ仕立てで再現し、お裾分けの背後にある複雑な人間模様の言語化に挑戦しました。
相手に期待したり、裏切られたり、おすそわけという文化はとても複雑です。それでも「おすそわけ」を通じたコミュニケーションによって近隣との豊かな人間関係が維持されているのは事実。今回の優勝作品は、こうした「お互いを思いやる気持ち」が日本文化の象徴となってきた点をユーモラスに表現したペア・プレゼンテーションとなっています。
ペアプレゼンにおける「起転結」の有効性を確認
このペアプレゼンテーションは「話者Aの回顧」→「話者Bの回顧」→「結論」という流れになっています。話者Aが起こした話題について、話者Bが異なる視点を提供し、それを統合した結論へと導く3部構成。すなわち「起-転-結」の構造です。これは、「優れたペアプレゼンテーションは『起転結』の3部構造をとる」とした研究結果(Shimizu, 2023)に合致するものです。
一人で演じるスピーチやプレゼンテーションには、起承転結の「転」は不要です。これについては、過去の記事「英語スピーチやプレゼンでは起承転結を避ける」で紹介しました。その反面、ペアで発表するプレゼンテーションには「承」が不要ということです。
ペアプレゼン「らしさ」を演出するのは、スタートからの流れがスムーズで、かつ中盤で変化の驚きを見せる「起・転・結」の構造です。ペアでのプレゼンを印象的にするヒントとして覚えておいてください。
端的にいえば、ペアプレゼン「らしさ」は、話者2人の息のあった会話調のやりとりから生まれます。原稿の段落ごとや、PowerPointスライドのページごとに話者が交替して原稿を読み上げるだけのプレゼンでは、本物の「ペア」プレゼンテーションにはならない、ということですね。
▶ 武庫川女子大学 公式ニュース [リンク]
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