Q. コンテストで自分より英語が下手な人が上位に入賞したのはなぜ?
「自分より明らかに下手な人が入選し、自分が落選したのはおかしい」

Question ▶ 英語スピーチコンテストで最高の発表ができたのに入賞できず、自分よりも英語が下手な人が入賞しました。なぜですか?

Answer ▶ 英語弁論大会の審査では、英語力は審査項目の一部にすぎません。英語以外の要因、すなわち内容に重きを置いた「全体の構成」や「論点の強さ」に入賞の要因があったのでしょう。この経験を機に、内容に磨きをかけるスピーカーに成長してください。
「英語は私の方が上手なのに?」審査結果に隠れた本当の理由
「Aさんの方が英語は上手だったのに、なぜBさんが入賞したの?」こうした疑問は、ハッキリと言葉には出さなくとも、心の中で感じたことはあるでしょう。スピーチコンテストの審査員を担当していると、本人よりもむしろ、引率の先生やご家族からこうした質問を受けることが多いです。
本人や関係者の悔しい気持ちは十分に理解できますが、その理由は簡単です。「英語の上手さ」は、審査項目のうちの一つに過ぎないからです。
そもそも「英語の上手さ」というのはかなり曖昧なものです。それが「発音の正確さ」を指すのか「文法や表現の適格さ」を指すのかもわかりません。一般的に「英語が上手」と言う場合は、母語話者のような「流暢な英語」を指す場合が多いですが、そうであればなおさら、「英語の流暢さ」は審査におけるごく一部の基準でしかなく、当然にそれだけで入賞は決まりません。
冒頭の質問に当てはめれば、「流暢さ以外の部分で、明らかに優れている要素があったから」というのがもう少し丁寧な回答になります。「なぜあの人が入賞?」という素朴な疑問は、英語弁論大会の審査における多面的評価に根差した「誤解」です。
悔しさは自分の課題を知り成長するチャンス
かつて、あるコンテストで私の研究室に所属する学生が全国優勝を達成した際、「英語の流暢さ」は圧倒的に2位のスピーカーの方が優れていました。それでも私の学生が優勝できた理由は、「内容の強さ」と「語りの表現力」があったからです。このことは、むしろ「英語」に自信のない人にとっては、「英語が完璧ではなくても優勝できる!」という吉報ではないでしょうか。
審査に疑問を持ったときは、ぜひ、その悔しさの中に成長のきっかけがあると考えてください。たとえば本当に「入賞者より自分の方が英語が上手」であったとすれば、英語「以外」の部分、すなわち「内容」「語り」「ボディ・ランゲージ」などを磨けば、劇的に入賞の可能性は高まるはずです。
漠然とした不満や悔しさとして片付けるのではなく、その特定の入賞者の原稿やデリバリーを振り返って研究してみませんか。入賞者のスピーチと自分のスピーチは何が違うのか、自分が改善すべきポイントはどこにあるかを、ぜひ戦略的に考えてみてください。
審査員と誠実に向き合ってヒントをもらう
全国規模の大会では、本番後に審査員と対面してコメントを受ける機会があります。そこでは、限られた時間で今後の成長に役立つ話ができるよう、私はなるべく改善点を中心にお話しするようにしています。要は、優勝レベルのスピーチと比較して「良くなかったところ」を知ってもらいたいからです。
その際、とても残念に感じることがあります。それは、審査員が説明をしている最中に、メモを取らず、終始不満そうな表情でアドバイスを聞く人が(意外にもたくさん)いることです。
大会が終われば「もう終わり」ではなく、スピーカーとしての成長はこれからも続きます。ぜひ、疑問を持った時こそ、審査員と誠実に向き合い、今後の成長のヒントを探ってください。誠実さは、成長の源です。弁論大会の審査員は例外なく、そんな誠実なスピーカーを応援しています。
英語スピーチコンテストは、単なる「英語コンテスト」ではありません。あらゆる観点から「スピーチ」を磨き、次の入賞を目指してください!