1分間スピーチはポイントを絞ったストーリーテリングと一般化で勝負
ユニークな焦点を一般化し、絵が見える物語にまとめる。

学校や職場でよく耳にする「1分間スピーチ」。「短いから適当でいいや」なんて思っていませんか? 実は1分間スピーチは、あなたの印象を知的に変えるチャンス。60秒間で聴衆を惹きつけるための「話題のフォーカス」と「ストーリー展開」について解説します。
身近で、誰もが知っていて、見えるものをテーマに。
1分間スピーチのテーマが自由であれば、まずは直近のユニークな経験や発見から話題を探してみましょう。話題のニュースをとりあげる人もいますが、社会性の高い話題は賛否が分かれるリスクがあります。まずは身近で親しみのある話題が無難です。
今まで苦手だった食べ物を食べてみた経験が印象的であれば、その食べ物に。初めて行ってみた場所が楽しければ、その場所に。絞り込む話題は、(1)身近で、(2)誰もが知っていて、(3)目に見えるものが最適です。
何かひとつの話題に絞ったら、それに1分間ずっと集中することが大切です。要は、あれもこれもと盛り込まないこと。1分で紹介できる話題は、現実的には1つが限界です。
「印象→変化→一般化→今後」の4ステップで展開
1分間のように限られた時間では、ストーリー展開にも限界があります。迷ったときは、(1)話題についての印象、(2)体験してみた心の変化、(3)社会の視点から一般化、(4)今後の展望、というあたりで時間いっぱいです。
以下に、最近食べた「激辛料理」についての1分間スピーチの展開を考えてみましょう。
- 印象:子供の頃から辛いものは苦手で、あまりおいしいと思っていなかった。
- 変化:先日、近所にできた四川料理店に連れて行かれ、友人が激辛麻婆豆腐を注文した。 私も一口食べてみると、辛いだけではなくて、うま味もあって美味しかった。
- 一般化:一口食べただけで顔に汗が流れます。ある記事によれば、この辛さのポイントは「カプサイシン」という成分で、「味覚性の発汗」は体をポカポカ感じさせる健康効果があるらしい。
- 今後:今になって「食わず嫌い」という言葉を知るとは思わなかった。辛い物が苦手な人がいれば、今度一緒に四川料理を食べに行きましょう。
ここでのポイントは、[3]の一般化です。これがあるだけで、スピーチ全体が引き締まった印象になります。その秘密は、一般化で紹介される客観的な事実や豆知識などの「発見」が、聴衆の知的好奇心をくすぐり、スピーチに深みと説得力を与えるからです。
1分間スピーチをする機会では、この「一般化」に気をつけて、事前に何か面白いデータを探しておきましょう。そうすればきっと「なかなか面白い話をする人だな」と思われるはずです。次の機会にぜひ試してみてください。