聴衆を味方につける!プレゼンの緊張が和らぐ「意図的な錯覚」
聴衆との仲間意識を持つことでいつも通りの自信を持つ

どれだけ練習を重ねても、発表本番はだれでも緊張するものです。そんな時、少しでも緊張を和らげる方法が、聴衆を味方につけること。自分が主賓であるという「意図的な錯覚」を持つことで、余裕のある笑顔と堂々とした姿勢が戻ります。慣れない瞬間でこそ、試してみてください。
「聴衆全員が自分の登場を待っている」と錯覚してみる
スピーチやプレゼンの発表者は、自分が会場の主賓でないことが多いでしょう。むしろ、何名あるいは何社かが順番に発表したり、授業で一人ずつ発表したり、といった場面が普通かもしれません。そんな時こそ、緊張を和らげるコツがあります。それが「聴衆が皆、自分の発表を楽しみに来場している」と話者自身が錯覚してみることです。
当然、誰もが自分の登場を待っているというのは完全な錯覚です。しかしその意図的な錯覚のお陰で、「聴衆から受け入れてもらえるかな」という不安を和らげることができます。
プレゼンターが辛い瞬間は、がんばって話をしているのにもかかわらず、聴衆が冷たい表情を崩さない時です。特に、緊張している瞬間にそのような表情が目に付くと、緊張はさらに高まります。
だからこそ、そこで「自分は聴衆に楽しみにされている存在だ」と錯覚してみるのです。そうすれば不思議と、聴衆の冷たい表情も気にならなくなります。なぜなら、そんな人たちでも「本当は自分の話をわざわざ聞きに来てくれているいい人たち」という(錯覚的な)安心感が得られるからです。
もちろんそれは錯覚ですから、実際には本当の意味において、お客さまを満足させなければなりません。そのための第一歩として「意図的な錯覚」が心強い味方になってくれます。
ひとりでも、ふたりでも、自分の味方がいるはず。
意図的な錯覚からくる自信の助けを借りて話を続けると、会場にはひとり、あるいはふたりと、話者の話にうなづきながら聞いてくれる人が現れます。その人は、錯覚ではなく、真にプレゼンに関心を寄せてくれている人です。まずはその人たちに話しかけるような気持ちで話を続けましょう。そうすると、まるで親しい仲間に話をするかのように、落ち着いて発表が続けられるはずです。
会場の緊張感に負けないためには、まず錯覚でも空想でも良いので、自分自身に自信をまとうことが大切です。錯覚による自信から始まったプレゼンが、次第に本当の自信となることを信じて、堂々と発表をしましょう。胸を張って大きな声でゆったりと話し始めることができれば、既に最初の緊張感の山場は乗り越えられています。
それでも緊張する場合には、過去記事「聴衆とのアイコンタクトが怖い時は椅子の間を見る」での説明にあるように、椅子の間にアイコンタクトを取りながら、聴衆と向き合う「フリ」をするというのも良い方法です。錯覚やフリは、一見すると小手先のテクニックのように思えるかもしれませんが、錯覚もフリも、聴衆に気付かれなければ、堂々としたデリバリーのテクニックになります。
本番の緊張感に負けて、小さな声になったり、背筋が丸くなったりすることは避けなければなりません。まずはしっかりと練習を積み、そのうえで本番では、この「意図的な錯覚」が、練習成果を最大限に発揮するための強力なツールとなるはずです。