"あの人らしい"スピーチが心を掴む秘訣は「言葉の背丈」にあり

「あの人らしい」と言われる安心感は等身大の言葉遣いから

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スピーチコンテストの審査員をしていると、聞いていて安心感のある、どこか応援したくなる英語スピーチと出会います。スピーチには、中学生には中学生の、また新入社員には新入社員の「らしさ」があります。この「らしさ」の背景には、背伸びせず、へりくだらず、常に等身大の言葉で語るという共通点があります。いわば話者の「言葉の背丈」が信頼感を高めているケースです。

誰の真似でもなく、自分の言葉で語ること。

人前でスピーチをするというと、誰でも背伸びをしてみたくなるものです。普段使わない表現を使ってみたり、ちょっと立派なことを言ってみたり。結局そのような言葉は最後まで「自分の言葉」として定着せず、どこか安定感のないメッセージとして届いてしまいます。

例を挙げるなら、普段はカジュアルな話し方をする人が、スピーチになると急にビジネス書推奨の難解な表現を使って棒読みになるような人がいます。それはちょうど、サイズの合わない服で無理に着飾っているような不自然さを聴衆に伝えます。

弁論大会のスピーチでも、職場でのスピーチでも、聴衆が聴きたいのは話者の誠実なメッセージです。一般人は役者ではないので、普段使わない言葉を無理に使っても、どこかで違和感が出ます。それは「言葉の背丈」が話者に合っていないときに起こる失敗です。

「言葉の背丈」を意識して自然な語りを心がける

スピーチで大切なのは、常に「自然で誠実」であることです。言うまでもなく、その逆は「不自然で不誠実」であること。こうして言葉にすると、両者は正反対で巨大な隔たりがあるように聞こえますが、実際のスピーチでは「紙一重の心がけの差」で左右されるものです。

どうすれば「自然で誠実」に響くのでしょうか。それは、まずは「自分の言葉で語ること」です。普段使わない単語は使わない。要は「すごいことを、すごい言葉で話そう」と思わないことです。「言葉の背丈」が話者に合っているからこそ、スピーチでその人「らしさ」が生まれるのです。

人それぞれに個性があるように、人それぞれの「言葉の背丈」があります。高ければ優れている、低ければ劣っている、というモノではありません。自分が持つ言葉の中で、聴衆を想いつつ適切な表現を選べば、それぞれの言葉の背丈は輝きます。

「どんな言葉で伝えるか」より「何を伝えるか」

インターネットや英語の実用書を見ていると、「ネイティブは〇〇とは言わない!」「〇〇な言い回しだと恥をかく!」といった刺激的なタイトルに出会います。それはそれで正しいかもしれませんが、そんな情報に振り回されると、不安ばかりが大きくなって、自分が本来持っている誠実な語りが失われてしまいます。

どうか自信を持ってください。大切なのは、言葉よりも中身です。確かに「伝え方や言葉選び」は伝達力を左右する大切な要素です。でもそれが効力を発揮するのは、「中身がきちんと備わっていることが前提」です。

英語スピーチで自信を失いそうな時には、伝えたいメッセージを振り返り、自分本来の言葉の尊さを思い返しましょう。スピーチの際「私はこれでいく!」と自信を持つことは、回りまわって話者の説得力を高めます。

「言葉の背丈」を大切にして、普段の言葉でスピーチをしてみませんか。聞いていて安心感のある、どこか応援したくなるスピーチを、ぜひ多くの聴衆に届けてください。

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