PowerPoint|テンプレートに頼らず見やすく独自のプレゼンを

安易なテンプレ利用は独自性とシンプルさの両方を失う

PowerPoint|テンプレートに頼らず見やすさと独自性で勝負 トップ画像

パワーポイントの新規作成では、様々なテンプレートが提案されます。色とりどりで魅了されますが、テンプレを使うということは、すなわち「誰かと同じデザインのプレゼンをする」ということ。テンプレに頼りすぎるリスクを知り、独自性とシンプルさのあるべき姿を考え直してみませんか。

ライバルと「デザインまる被り」になる恐ろしさ

プレゼンテーションは、常に他者(他社)との差異化を訴求する使命を負っています。発表内容の独自性については、プレゼンターなら誰しも誇りを持っているはず。にもかかわらず、大切な場面でライバルとデザインがまる被りになれば、発表の中身に関しても新鮮味が欠ける印象を与えてしまいます。

アプリ標準のテンプレートであれ、雑誌や会員サイトの付録であれ、テンプレートはいつかどこかで重複します。「あんなにたくさんあるのに被るハズがない」と思うかもしれませんが、コンペ等で特定のテーマのプレゼンをする際、発表者に選ばれやすいテンプレートはおおむね似通ってくるという現実は知っておいた方がよいです。

私がこれまでに見てきたプレゼン大会の全国決勝でさえ、大切な表紙スライドデザインが他のプレゼンと同じテンプレートだったケースは珍しくありません。テンプレートの種類は数あれど、人間の好みは似ているものです。それが2組目、3組目と重なれば、聴衆は「またか」と思うでしょう。

デザインが誰かと被るということは、それだけ独自性への情熱が浅いことを意味します。表紙が他の発表者と同じテンプレートだったというだけで、プレゼンへの期待感は大きく下がります。オリジナリティを尊重するなら、基本的にはテンプレートから距離を置くのが正解です。

それでも、どうしてもテンプレートに頼りたい場面もあるでしょう。そんな時は、元々の配色(カラースキーム)を変更したり、フォント構成やレイアウトに手を加えることで、「パッと見て元のデザインとは違う」と感じる程度にカスタマイズしてから使うことをお勧めします。

企業独自のパワポ用テンプレートも活用は慎重に

企業によっては、その会社が独自に準備したテンプレートを使う場合があります。企業用のテンプレートは比較的シンプルで、企業名やロゴマーク等の基本デザインが重複するのは稀です。それでも慎重な利用が望ましいのは、スライドで伝えるメッセージの「シンプルさ」に影響を与えるからです。

たとえば、全ページにわたって社名やロゴが入っているテンプレートは、聴衆の集中力を妨げます。コミュニケーション研究において、本来の意思疎通を妨げる要素のことをノイズ(noise)と呼びます。パワーポイントを使うプレゼンでのノイズとは、ずばり「余計なもの」です。

企業のプレゼンであれば©著作権(copyright)表記や、®登録商標(registered trademark)表記の関係で、ある程度の補記が必要なことは理解できます。それでも、連続するほぼ全てのページにロゴや企業スローガンが入っているのはノイズと考えるべきでしょう。

企業テンプレートを使う場合でも、たまにはテンプレートではないシンプルなスライドをプレゼン中に挟むことをお勧めします。時折現れるシンプルなスライドがあることで、テンプレートを使ったページの企業ロゴなどの存在が逆に際立ちます。

中身に自信があれば純白のスライドは怖くない

真っ白なスライドに文字だけを配置するのは、勇気が要ります。なぜなら、何の飾りもなく、文字の内容だけで勝負する必要があるからです。でもプレゼンとは本来そういうもの。プレゼンやスライドのデザインではなく「中身」に自信があれば、真っ白な背景でも何も怖がることはありません。

とはいえ、デザインも大切な要素ですから、以下のようなポイントに留意してみましょう。

脱テンプレ!シンプル配置の基本

  • 表紙で写真を使うとき

    左(または右)に画面幅1/3~1/2程度の画像をぴったり配置する。
  • 本文スライドで写真を使うとき
    (1) 写真を使うページでは、常に同じ場所に同じ大きさで画像を配置する。
    (2) 画面の右半分と左半分で2枚の画像を並列に配置して見せる。
    (3) 主要ビジュアルの強調なら、単独写真だけをページ全面に配置する。
  • 文字だけのスライド

    各ページのタイトル行を、同じ場所・同じフォントで統一する。
  • キーワードのみのスライド

    スライドの中央芯(ど真ん中)に適切なサイズで配置する。

このやり方では、既存のテンプレートのような華やかな見かけにはなりません。しかし「華美では無い」ということは配色の競合もなく、視覚的な情報過多を避けられます。結果として文字メッセージそのものに聴衆の意識を集中させることができ、落ち着いた、プロフェッショナルな印象を与えます。

自分でデザインしたスライドであれば、誰かと「デザインがまる被り」することはありません。プレゼンは、オシャレなテンプレートではなく、伝えたいメッセージにこそ価値があります。自信をもって、シンプルなデザインの大切さを考え直してみてください。


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