プレゼンでは話者が選択肢を絞り込む!聴衆に選択肢を示すだけでは不十分

聴衆に選択を委ねないことは聴き手の負担を減らす

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情報を発信する側が陥りやすい失敗は、あれこれ多くの選択肢を示すことです。プレゼンターに求められている役割は、その多くの選択肢から「最高のひとつ」を聴衆に届けることです。そのためには、本当に大切な情報は何かを発表者みずからが理解する必要があります。

多くの選択肢を示すだけでは聴衆に何も記憶されない

新商品や新サービスのプレゼンテーションを見ていると、単純にその商品の魅力を列記し、それらを順番に紹介する発表をよく目にします。それ自体はよく練られた情報なのですが、いくつものポイントを話されると、「結局何が最も大切なのか」が聴衆にはわからず、最終的に何一つ聴衆の記憶に残らないことがあります。

そのようなプレゼンに触れると、「とりあえず優れている部分をいくつか紹介しておけば、聴衆がその中から重要な情報を取捨選択してくれる」という甘えを感じます。残念ながら、聴衆はそこまで親切ではありません。

たくさん紹介したいポイントがあるなら、その中で「最も聴衆にとって重要な情報」ひとつに絞って、それだけを中心にプレゼンを構成することが大切です。選択を聴衆に委ねるのではなく、発表者みずからが最善の選択をし、その結果を発表するのがプレゼンテーションの本質です。

「絞り切れない」という理由は発表者には禁句

「あらかじめ選択肢を吟味し、その結果をプレゼンで伝える」ということをアドバイスすると、「そんなの絞れこめません」という声が返ってくることがあります。そんな時には考えてもらいたいのです。話者自身が絞り切れないものを、聴衆が絞り切れるはずがありません。

「今から特徴を10個お話します」よりは「今から3つのポイントを説明します」の方が、聴衆の心理的負担は少なくなります。さらには、「今日は一つだけ、どうしてもお伝えしたいことがあります」まで情報を限定できれば、聞く気の無い聴衆でさえ「聞いてやろうか」と思ってくれるでしょう。

発表者側は、多くの場合「聴衆はプレゼンを聞いてくれる」だと錯覚します。これはまさに錯覚で、聴衆は出来ることなら「早く家に帰りたい」のが本音です。聞くべき選択肢が多いほど、うんざりするのが普通です。聴衆を愛して、聴衆に最高の選択肢ひとつを示す。これがプレゼンの基本です。

選択肢を極限まで絞り込むためには、聴衆の興味や関心を知り尽くす必要がありますし、自社商品の真の魅力を十分に理解する必要があります。多くの情報を詰め込めば、話者は「何となく安心」するかもしれません。でも聴衆側にとってはそれは相当な集中力を求められる「苦痛」でしかありません。

どこまで聴衆への「配慮」が出来るかが、わかりやすくシンプルなプレゼンに影響を与えます。「選択肢を絞るのは話者の仕事」だと、ぜひ覚えておいてください。


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