一次情報を引用する重要性:英語スピーチ/プレゼン/論文の客観的説得力の基本
論証では「誰かの解釈」を鵜呑みにしないことが大切

論証のプロセスにおいては、データや統計結果の引用が欠かせません。その際、注意したいのは「誰かの考察を経由したデータ」を引用しないことです。データや統計調査は、誰かの解釈を含まない「発表元の一次データ」を確認し、正確に引用する習慣をつけましょう。
一次情報と二次情報の違いを理解しておこう
データには一次情報(primary source)と二次情報(secondary source)があります。卒業論文はもちろんですが、英語スピーチやプレゼンテーションにおいてデータを引用する際には、必ず一次情報を確認し、その生のデータ(raw data)を引用する心構えが大切です。
たとえば、テレビやニュースサイトで「若者のスマホ依存」が取り上げられたとします。その際、その依存度合いを裏付けるために、「政府公表のスマホの総利用時間の増加データ」が紹介され、さらにメディアではスマホ依存に対して批判的な論調が展開されるはずです。
この時、「政府公表の生データ」が一次情報で、その「ニュースメディアを通じて知った一次データ」や「その一次データを元に構成・加工された情報」が二次情報となります。
スピーチやプレゼンでデータを引用する際には、この二次情報を鵜吞みにせず、その正確さや客観性を確保するために、必ず「元々の一次データ」を確認する習慣をつけましょう。
二次情報では意図的に一次情報の一部が隠されることも!
スピーチ等で使用するデータを探すために検索をすると、様々なメディアの記事がヒットします。これらのメディア記事を参考にする場合は、元々の一次データが都合よく利用されているケースがあることを知っておくべきです。
先ほどの例で説明すると、「スマホの総利用時間が増えているデータ」が引用されていますが、元々の一次データを確認すると、「総利用時間数の増加データ」のほかに、「娯楽のための利用時間は減っている」というデータもあわせて公表されているかもしれません。
そうなると、一次データが示唆する事実は、「総利用時間数は確かに増えているが、実際には、情報検索やオンライン学習での利用が増えている」現象かもしれません。すなわち、上記のメディアで批判された「スマホ依存」とは、本質的なニュアンスが異なってきます。
一次情報を利用している二次情報では、一次情報を恣意的(意図的)に取捨選択し、メディアの主張に沿った論調を作り上げることができるということです。ゆえに、スピーチ等で何らかの論証を試みる際には、脚色のない一次データを確認することが重要になるのです。
スピーチやプレゼンでデータを引用する際は誠実に
こうした現実は、スピーチ・プレゼン・論文などで情報を発信する側になる私たちに、ひとつの教訓を与えています。それは、原稿内でデータを引用する際は、一次情報を誠実に利用するということです。
過去記事「数字データの印象操作は可能?「丸める/生/方向づけ」3種類の見せ方を知る」で紹介したように、常識的な範囲であれば、データの見せ方を工夫することは論証のプロセスとして有効です。
しかしながら、論証のためのデータを探していると、自分が訴えたい論旨に沿った有利な情報もあれば、相反する不利な情報も見つかることがあります。そんな時、不利なデータを意図的に見ない(あるいは見せない)ようにすることは避けなければなりません。
あらゆるデータや文献を客観的に判断し、誠実に向き合うことはスピーカーの基本的な姿勢であり、学術的な「研究倫理」(Research Ethics)の基礎を成すものです。誠実であることは、結果的に話者自身の説得力を高めることにつながります。
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