学術論文|A Statistical Analysis of Award-Winning Speeches

武庫川女子大学英文学会編『Mukogawa Literary Review』第57号|

2020年3月

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ソロで発表する英語スピーチは、いかにして「優れた」スピーチになりえるのか。その素朴な疑問に言語統計処理で科学的な解を与えた清水の研究論文(査読付)が、武庫川英文学会 学会誌『Mukogawa Literary Review』第57号(2020年3月発行)に掲載されました。本稿は、大学生が発表する4分間のスピーチにおいて、語数や語彙の「優れた」特徴をコーパス分析によって明らかにし、教育的指針を与える論文です。

優れた英語スピーチの特徴を言語統計分析で科学的に実証

本稿では、英語スピーチコンテスト用の原稿において、どんな要素が入賞等の好結果に結びつくのかを、コーパス分析と言語統計分析によって明らかにしました。従来、教育現場で漠然と語られてきた「優れたスピーチの構成要素」を数値的・統計的に明らかにし、より理論的・科学的な英語スピーチ教育の実現を目指しました。

まず、優れたスピーチの構成要素に関する先行研究を概観し、それらの数値的な要素を整理。そのうえで、各数値データと、実際のスピーチコンテストでの受賞スピーチの言語解析データがどの程度一致するかを比較することで、スピーチ教育現場に向けた新たな指針を見出すことを目指しています。

研究結果:WPM=111, WPS=12, 語彙の豊富さに有意差

分析では、女子総合大学が開催する全学的な英語弁論大会に応募された「4分間の英語スピーチ原稿」を3年分(合計80本、約35,000語)の「スピーチコンテスト・コーパス」を編成。それらを「入賞作(各年2名)」「ファイナリスト(各年6名)」「それ以外」の3グループに分類し、各グループの構造的な特徴を言語データ処理と統計分析によって考察しました。

本研究の結果、一般的な文献で述べられている「理想的な」発話スピード(WPM)は90~150語前後と多様でしたが、本研究では「111語が優れた発話スピード」であり、それ以下であると入賞ラインに届きにくい傾向が示唆されました。

「理想的な」1文あたりの語数(WPS)も、従来の文献では10語~18語のばらつきがありましたが、「本研究では12語が優れた語数」であり、それを上回る(すなわち複雑な)文章構造は、コンテストにおいて望ましい結果を生まないことが分かりました。

さらに、豊富な語彙使用を示す指標(STTR:以下に解説)の分析によって、一般的にスピーチでは豊かな語彙を使うことが理想的とされますが、本研究において「語彙の豊かさが統計的に有意な差を生む」ことが裏付けられました。

STTRとは?(コーパス分析)

STTR (Standardized Type-Token Ratio)とは、大量の言語データをコンピュータを使って解析する「コーパス分析」における用語。一般に「語彙の多様性」を示す指標です。一定の語数幅の中で、同じ単語の繰り返し利用を避け、どれだけ豊かな表現(新しい語彙)を使って原稿が作成されているかを測る尺度として用いられます。

英語スピーチ/プレゼン教育に科学的な知見を

この研究成果については、過去記事「勝てる英語スピーチ・プレゼンの語数(WPM)は1分あたり111語が目安」でも紹介しています。語彙の豊かさが大切である点が統計的に明示されたことも、英語教育者にとっては心強い結果ではないでしょうか。

このように、研究成果を実際の英語スピーチ・プレゼンテーション教育に反映させ、そしてまた、その教育成果が次の研究を推進するという流れが、当研究室にはあります。

過去10年連続で学生が学外大会入賞を続ける実績の背後には、こうした科学的な裏付けがあるのです。


(Reference)
Shimizu, T. (2020). A statistical analysis of award-winning speeches. Mukogawa Literary Review, 57(1), 29-53. [リンク]

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