Q. 英語が上手すぎるとスピーチやプレゼンは聴衆に伝わらないことがある

「英語は流暢なのに、先生に"もっと丁寧に話して"と言われます。」

student

Question ▶ 留学経験もあり英語には自信があります。でもスピーチをすると「もっと丁寧に話した方がいい」と先生に言われて気分が悪いです。どういうことですか?

shimizu

Answer ▶ 英語が「上手すぎる」からですね。帰国子女や留学帰りの学生は、英語がとても堪能です。しかし堪能であることと「スピーチやプレゼンで上手に話せる」ことは全く別の技能です。大きな声で、ゆっくり明瞭に話す訓練をすると、きっと改善されますよ。

会話とプレゼンテーションでは、求められる質が違う。

英語のスピーキングに自信がある人ほど、スピーチやプレゼンテーションが伝わりにくい印象を持たれることがあります。その原因は、日常会話とスピーチ(public speaking)の間には、話し方に根本的な違いがあるからです。

1対1のコミュニケーションであれば、自分の話したいスピードで、自分の話したいように話せば、会話は難なく成立します。スピードが早かったり、多少聞きにくくても、会話であれば大した問題は生じません。それは聴き手の側にも「話者の話を聞こう」という一定の思いやりがあるからです。

それが人前での発表となると話は変わります。声の大きさや声質、話すスピード、そして明瞭さ。どれをとっても、プライベートな会話とは求められる「語りのレベル」が違います。さらに、聴衆は「積極的に話者の話を聞こう」と思っていないケースさえ多いのです。

この違いを十分に理解しないまま、ステージ上でも「いつもの調子で」ペラペラと英語を話してしまうと、そこには「話者の自己満足の世界」が作られてしまい、聴衆は置き去りになってしまいます。自分の英語に自信がある人ほど、このすれ違いの現状に気付かない人が多く、最終的に話者本人にとって大きなストレスになります。

「流暢さ=スピーチの上手さ」ではないことを自覚する

流暢な英語を話す実力があるということ自体は、とても素晴らしいことです。それをスピーチやプレゼンでフルに生かすためには、次の3点に注意してください。

  • 大きな声とよく通る声質で話す。
  • ゆっくり話す。
  • 語尾をしっかり発音する。

つまり、プレゼン用の"presentation voice"を身につけ、誰にでも分かるスピードに落として、明瞭な語尾を心がける、ということです。これだけで、スピーチにおいても「流暢な」英語だと認識されるはずです。

留学帰りの学生を指導していると、確かに英語は巧みなのですが、聴衆の聞きやすさへの配慮や、プレゼンターとしての存在感を高める意識が不十分であることを感じます。「英語が流暢であること」=「スピーチの語りが上手」という図式にはなりません。スピーチには、スピーチ専用の意識とトレーニングが必要です。

まずは聴衆に愛情をもって語り掛ける練習をしてみましょう。そこから、おのずと必要な「配慮」が見えてくるはずです。そうすることで、日常の会話でも、多数の聴衆を相手にしたプレゼンでも、あなたの「流暢さ」に磨きがかかることでしょう。


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