Q. スピーチのレシテーション(暗唱/暗誦)はどこまで本物を真似するべきか?
レシテーションは原作に忠実に真似するのが良いですか?

Question ▶ 学校でレシテーションコンテスト(暗唱大会)があります。課題文はどのくらい原作を真似すれば良いですか?

Answer ▶ レシテーションの基本は「暗記と表現力」です。"真似"という言葉の意味が「原稿の暗記」なら、それは正確な再現が必要です。でもそれが「原作者の話し方」という意味なら、単なる真似ではなく、発表者(あなた)が課題文をどう解釈したかを反映して、自由に表現してください。
レシテーションコンテストは「ものまね大会」ではない
暗唱大会の「よくある誤解」は、課題文(recitation material)の原作スピーカーの発表を真似るのが優れているという考えです。もちろん、大会によって開催趣旨が異なりますから、一概には言えませんが、レシテーションコンテストはオリジナルを再現するための「ものまね大会」ではありません。
では、何が大切なのでしょうか。まず「暗唱」という名の通り、(1)原稿を正確に暗記し、(2)正しい発音によって、(3)課題文のメッセージを聴衆に伝えることです。この過程で、必ず(1)英文暗記と(2)発音練習が求められることから、英語授業においてレシテーションが広く活用されていることがうかがえます。
しかし、この(1)暗記と(2)発音だけでは本当の意味で「スピーチの暗唱」にはなりません。課題文は著名な弁論の抜粋であったり、物語の一節であったりと様々ですが、いずれの素材でも「(3)課題文のメッセージを聴衆に伝える」ためには、そこに「スピーカー独自の解釈」が反映されていることが必要です。
自分なりの解釈を表現するのが暗唱の醍醐味
暗唱では、まず課題文をしっかり味わい、そこで得た自分なりの解釈を感情表現に反映させましょう。つまり「原作者の発表を真似る」という行為は、ここで言う「自分なりの解釈」というレシテーションの重要な要素を失うことを意味します。
上記の「(3)課題文のメッセージを聴衆に伝える」は、まさにこの「自分独自の解釈」によって成立します。このおかげで、レシテーションは「単に覚えて発表するだけ」という機械的な作業ではなく、とてもクリエイティブな挑戦になるのです。
もちろん最初の練習の段階では、原作者の表現方法を真似するのも悪くはありません。ただ、それだけで終わるのは不十分であることを覚えておきましょう。練習を繰り返す過程で、単なる「暗記発表」が「本物の自分の語り」になっていくのが理想的なレシテーションだからです。
人前で「自分独自の解釈」を人とは違う感情表現で発表することは、少し恥ずかしいかもしれません。でもそれは本当に素晴らしい取り組みです。ぜひ堂々と「私ならこう語る!」という気持ちで、胸を張って発表してください。健闘を祈ります!
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