学術論文|Examining the Dominance of Conceptual Metaphors in Business Speeches: The Third Factor

日本国際情報学会編『国際情報研究』第11号|2014年12月

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ビジネススピーチで用いられる概念メタファ(比喩)の構造的特徴について、10本のビジネススピーチを「メタファグラム分析」で検証した学術論文(査読付)が、日本国際情報学会 学会誌『国際情報研究』第11号(2014年12月発行)に掲載されました。本分析は、ビジネスリーダーの言葉にメタファの「時系列的支配性」の存在を明らかにしました。
▶ 論文DOI https://doi.org/10.11424/gscs.11.1_56

メタファグラムで比喩構造の時系列的支配性を描写

本論文(Shimizu, 2014)の邦題は、「ビジネススピーチにおける概念メタファの支配性の検証:第3の要素」です。メタファ分析は「点的ではなく線的である」ことを議論した先行研究(Shimizu, 2012)の示唆をうけ、ビジネススピーチのメタファ分析に、時系列的視点の重要性を示しました。

2本のビジネススピーチの比較研究(Shimizu, 2012)の研究成果を追検証するため、本研究では新たに10本のビジネススピーチを用意し、それらを先行研究と同様に「メタファグラム」(下段カコミ参照)を用いて分析しました。

その結果、先行研究(Shimizu, 2012)の示唆が裏付けられ、ビジネススピーチには、量や分布という「点の分析」ではなく、時系列による「線の分析」の重要性が立証されました。この研究が明らかにしたのは、後にメタファ分野における時系列分析の基礎を成す「時系列的支配性」という概念です。

ビジネススピーチでは比喩表現の時系列的な配置が鍵

本研究が検証した「時系列的支配性」という概念は、従来の量的支配性(数が多い=影響が大きい)、分布的支配性(分布が広い=影響が大きい)に続く「第3の要素」(The Third Factor)となる可能性を示しています。

従来型の「メタファの実践的活用法」といえば、「〇〇という比喩表現には▲▲な効果がある」というような、メタファを「点」で捉える考え方が主流でした。しかしこの「時系列的支配性」では、この「〇〇という比喩表現」を、時系列上の「どこで、どのような量を配置するか」という観点が重要になります。

この実証研究は、グローバル社会におけるビジネスプレゼンターにとって、ますます戦略的な言葉運びが重要になる点を示唆した研究結果であるといえます。

なお、この研究結果はその後、一連の追加検証(Shimizu, 2015; 2016; 2017)においても有効性が改めて支持されました。これらの一連の論文は、概念メタファの時系列分析という研究手法を支える「メタファグラム」の可能性を示しています。

「メタファグラム」とは?

概念メタファを時系列で捉える新しい分析法として、Shimizu (2010)が"Mental Distance Analysis" [メンタルディスタンス分析]として初めて提唱したものです。のちにその視覚図が"Metaphorgram"と名付けられました。メタファグラム分析の特徴は以下の2つです。
(1) 時系列での可視化:スピーチの進行に伴う(各概念メタファグループの)比喩表現の頻度変化を折れ線グラフ(標高形式)で表示し、話し手の意図や戦略的な概念構造の推移を時系列で捉えます。
(2) 概念メタファの相関:複数の比喩グループ(競争、旅、人間など)が、一定のスピーチにおける時系列上でいかに相互作用し、スピーチ全体の説得力に寄与しているかを統計的に分析します。

論文要旨 (転載)

本稿は、ビジネス英語スピーチにおける「主要な概念メタファ」を定義するための新たな指標として、「時系列的支配性」を提起し、その意義を検証するものである。時系列的支配性は、従来の量的支配性・分布的支配性に続く第3の要素として、「スピーチの時間的推移」と「主要な概念メタファ」の関連を示す指標である。その提起および検証にあたり、本研究では、まず2010年に発表された10本のビジネススピーチを手作業で分析し、概念メタファの検索語リストを構築する。続いて、その検索語をもとに、コーパス分析による機械的処理と、手作業の確認作業を経て、全スピーチをメタファグラム分析によって時系列的に解析する。その上で、量的・分布的・時系列的の各分析データから、各スピーチの「主要な概念メタファ」を求め、それらを比較検証することで、時系列的支配性の存在意義を考察していく。検証研究の結果、「時系列的」という第3の支配性は、従来から実績のある量的支配性と一定の関連性を維持しつつも、分布的支配性からは独立した指標として機能することが明らかとなり、時系列的支配性の重要性が示された。


(References)
▶ Shimizu, T. (2010). “Mental distance” concept for chronological metaphor analysis of business executive speeches, Osaka Keidai Ronshu [The Journal of Osaka University of Economics], vol.60(6), 245-268. [リンク]
▶ Shimizu, T. (2012). Dots or flows?: A field of metaphors in business, Kenkyu Nempo [The Journal of the Japan Business Communication Association], vol.71, 41-50.
Shimizu, T. (2014). Examining the dominance of conceptual metaphors in business speeches: The third factor, Kokusai Joho Kenkyu [The Journal of the Japanese Society for Global Social and Cultural Studies], vol.11, 56-67. [リンク]
Shimizu, T. (2015). An extensive study on characteristics of business speeches: A corpus-based approach to metaphors in business, Kokusai Joho Kenkyu [The Journal of the Japanese Society for Global Social and Cultural Studies], vol.12, 104-115. [リンク]
▶ Shimizu, T. (2016). A comparative analysis of conceptual metaphors in business and political speeches: A chronological approach, Kokusai Joho Kenkyu [The Journal of the Japanese Society for Global Social and Cultural Studies], vol.13, 3-14. [リンク]
▶ Shimizu, T. (2017). Metaphorical structures of business speeches reexamined: Insights from metaphorgrams of 110 business executive speeches, Kokusai Joho Kenkyu [The Journal of the Japanese Society for Global Social and Cultural Studies], vol.14, 3-14. [リンク]


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