落ち着きから躍動感へ!コンテストの発表でも優雅な白鳥はバタバタしない

水面に浮かぶ白鳥が、いつ向きを変え、いつ飛び立つかを楽しむ。

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白鳥がふわふわと水上を泳ぐ姿はとても優雅です。力強く羽ばたくこともできますが、そのパワフルな姿は普段の穏やかな姿からはうかがい知れません。スピーカーが舞台に立つと、緊張や不安で平常心を保つことは難しいですが、理想的なのは白鳥の余裕。いつ向きを変えて泳ぎ出すのか、いつフルパワーで飛び立つのか、その秘密に満ちた姿が、聴衆をわくわくさせます。

実は水面下でも穏やかな白鳥。だからこその余裕。

白鳥は水に浮かびます。「白鳥は水面下では足をバタバタさせている」と言われることがありますが、実際には難なく水面に浮き、流れに乗りながら優雅に泳いでいます。しかし水上からは脚が見えにくいため、いつ向きを変えるか、いつ飛び立つか、その秘密に満ちた姿が見る者をわくわくさせるのです。

スピーチコンテストの審査員をしていると、そんな白鳥のような余裕を感じさせるスピーカーに出会うことがあります。登場の瞬間からゆったりとした落ち着きがあり、潤沢な間(ま)を取ってスムーズに話し始め、時に大きな変化で聴衆を目覚めさせる、そんなスピーカーです。

何より、ステージ上で「優雅に見える」ことが大切なのは、その姿を見た聴衆が「落ち着き」を感じられるからです。バタバタと足を動かしたり、頻繁に羽を開閉する白鳥に「優雅さ」は感じません。同様に、手足が頻繁に揺れ動いたり、目線が泳いだり、スピードや声量が安定しないスピーカーから、落ち着きを感じることはできません。

優雅さがあるからこその「躍動感」がある

スピーチでは、よく「緩急のある」や「躍動感のある」といった表現で、動きのあるスピーチを形容します。その「動き」を重視して、とかく変化に富んだデリバリー(発表技法)に挑戦するスピーカーがいますが、緩急や躍動感というのは、まず「落ち着いた優雅さ」があってこそ、輝けることを忘れてはいけません。

静かに水上を泳ぐように、通常の滑らかな語りが必要です。時に大きく羽ばたくように、ここぞというところで力強いデリバリーが光ります。舞台上では、まずは落ち着いて優雅な語りを展開し、聴衆を穏やかに惹きつけることが大切です。

穏やかながらも、次の動きが楽しみになる。そんなスピーチが理想的です。平凡なスピーチだと思わせつつハッとするデータを持ち出したり、静かに語りつつ次第に驚くべきパワーを見せてきたり。これらはどちらも「優雅さ」という基本のうえに成り立っています。

白鳥は何もしなくても水面で浮いていられますが、私たちは意識をしないと舞台上で「優雅」にはいられません。まずは十分な練習をして自信をまとい、白鳥のごとく静かで穏やかにスピーチを始めてみたいものです。


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