スピーチは単語より感情が先!発音練習は常に本番状態の"ON"を意識する
発音練習は「リアルな発表環境」を再現しなければ意味がない

原稿が完成して音読練習に入る際、発音や感情表現の練習を常に"ON"でやることが大切です。"ON"とは、マイクに音が乗った「本番状態」のこと。つまり、何かの単語や表現の発音を練習する際は、その原稿の位置の感情で、その場面に相応しい声の大きさなどをすべて忠実に再現する必要があります。
ボソボソ声の"OFF"で練習をしても意味はない
よくある失敗は、発音の誤りを矯正する際に、何度もその単語をボソボソ声で練習することです。スピーチは「発音コンテスト」ではありません。その発音をボソボソと練習してマスターしたところで、その単語が実際に原稿上で登場する瞬間に、適切な感情とともに正確に発話されなければ何の意味もありません。
苦手な単語やフレーズが登場した場合は、発音練習に入る前に、まずは原稿にチェックを入れましょう。この段階で大切なのは、まずその単語が原稿のどの位置で登場するかを確認するとともに、それをどんな感情で発話するのが最適か認識することです。
その場面にふさわしい感情が確認できたら、そこで初めてその瞬間の声、イントネーション、スピード、そして顔の表情からジェスチャーまで、すべてを再現しつつ発音練習を始めます。当然に、ボソボソと発音をするようなことはありえないはずです。
ここまで厳格に"ON"の状態にこだわる理由は、その単語をボソボソと"OFF"の状態で発音できても、実際のスピーチで適切な感情表現とともに発話できなければスピーチとして成立しないからです。スピーチでは常に適切なデリバリー(表現技術)とともに、すべての単語を発音する必要があります。
一見すると遠回りに見える"ON"の練習ですが、最終的にはこれが効率の良い練習法になります。なぜなら「本番で使える発音」と「正確な感情表現」を同時に身につけることができるからです。
常に"ON"であることを自分に課して練習する
7分のスピーチであれば、おおよそ700語程度を一気に語り切る作業になります。同じ単語が登場したとしても、それぞれの「発音や表現の仕方」は異なるはずです。その意味で、ひとつ発音が苦手な単語が登場しても、それが原稿で登場する都度、それぞれ"ON"の状態を意識して練習しなければ、正確な発音にはなりません。
"ON"であることを意識すれば、気持ちは常に本番です。言い間違えたり、思うように発音できなくても、それを顔に出すことは許されません。そうやって自分を律することで、スピーカーとしての自立した責任感や存在感が養われていくのです。
どんな小さな単語でも、発音を練習する時は常に本番モードの"ON"でやる。どんなスピーチでもプレゼンでも、「語りの基本」として覚えておいてください。最初は恥ずかしさが伴いますが、次第にその効率の良さに気付くことでしょう。
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