スピーチ・プレゼン原稿の音読練習の基本は「3段階の上達ステップ」を丁寧に

いま自分が「何を練習しているか」を明確にする習慣をつける

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原稿が完成すればいよいよ音読練習です。この時点で気を付けたいのが、練習の都度、その練習の目的を意識することです。基本レベルの音読練習には、(1)発音、(2)リズム、(3)語り、の3段階があります。急がば周れ。各プロセスを混同せず、それぞれの練習ステップに丁寧に取り組むことが結局は上達の近道になります。

Step 1:一つひとつの「単語の意味と発音」を確認

原稿が完成したら、まず取り組むべきは単語の発音を確認することです。「そんなこと言われなくても分かってる!」と思われるかもしれませんが、このステップをおろそかにする人がとても多いのが現実です。

単語の発音確認で何より大切なのは、本来の意味と発音を「知っている気にならないこと」です。少しでも正しい発音に自信がなければ、必ず辞書で調べて発音記号を練習用紙に書き込みましょう。少々面倒ですが、これが後々重要になります。この「単語レベルの段階」で知っているフリをすると、今後のステップで必ず問題が起きます。

単語レベルの発音練習で気を付けるのは、強勢(アクセント)の位置と、紛らわしい音(s, sh, th、二重母音と長母音など)を正確に洗い出すことです。単語レベルの練習の際には、文章レベルの読み方を気にする必要はありません。ひたすら、一語一語、丁寧にマスターすること。それが出来てこその音読練習です。

Step 2:文章レベルで「音のリズム」をつくる

単語レベルの練習をクリアしたら、次は文章レベルの練習です。ここから、いわゆる「音読練習らしい」練習になるといえます。多くの人がこの段階から始めてしまうので、単語の発音でつまずいた時に、結局文章レベルのリズムが崩れてしまうのです。まずは単語レベルの練習が出来てから、文章レベルに取り組んでください。

文章レベルの練習で大切なのは、その文章がその場所に存在する意味を考えることです。すべての文章には存在意義があります。それを確かめて、その文章が最も伝えるべきメッセージを表現している単語(あるいは句・節)を、丁寧に伝えることを意識して音読します。

音読の際に留意すべきことは、英語らしいリズムです。英語の文章は、大切な単語をしっかり伝える一方、それ以外の単語については力まずスムーズに流していくのが原則。いわば「メリハリ」です。強勢による「拍のリズム」とともに、ダラダラと読まず、「意味を音読する習慣」を身につけましょう。

Step 3:段落から原稿全体を通じた「語り」を磨く

十分に音読ができたら、基本レベルの最後の仕上げは「語り」です。音読は、文字通り「読む」プロセス。一方、語りは「想いを届ける」プロセスです。これは、Step 2で練習した「文章全体の音のリズム」の上に、話者の気持ちを乗せる作業であるとも言えます。

語りを磨くには、原稿全体を通じた「感情の流れ」を整理する必要があります。まずは各段落における話者の感情を振り返り、必要であればそれを原稿(各段落横の余白)にメモします。そのうえで、各段落内にあるする文章レベルで「気持ちの変化」を確認していきます。

語りの練習はとても人間味のある取り組みです。同じ感情を伝える場合でも、違う語りを選ぶこともあります。たとえば「怒り」を表現する時に、「大きな声で感情的に語る」のか「静かな本気を語る」のか、その選択は全てスピーカーの裁量にあります。

高度な内容はさておき、基本的には、「スピーチ全体 → 段落 → 各文章」の順に「伝えるべき感情」を丁寧に確認し、全体を通じた「感情表現の設計図」を頭に描くことを目指します。そのうえで、それぞれの場所に適した感情を自分の声に載せる練習をします。練習の都度、必ず録音をして聞き返し、その感情が正確に再現されているかを確認することも大切です。

音読練習は最初が肝心です。面倒でも上記の3つのステップを丁寧に追いながら、豊かな感情表現ができるよう練習を繰り返してください。確かに時間はかかるかもしれません。でもそのプロセスがあればこそ、最終的に「勝てるスピーチ・プレゼン」を達成する最短距離が達成されるはずです。


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