ホームポジションを決めればジェスチャーを使わない時でも両手が落ち着く
意味なく動くことがないよう、両手に自然な定位置を決める。

ジェスチャーをしていないときの手はどうするか、迷ったことはありませんか?答えは簡単。自分でココと決めた場所に常に戻すように意識すればよいのです。手の「ホームポジション」を決めておけば、プレゼン中に無意識に手がひらひらと動き出す心配はありません!
迷ったら前方でゆったりと手が重なる位置に置く
スピーチにおけるジェスチャーで最も避けるべきは、手が無造作に動くこと。中には、スピーチ中ずっとどちらかの(あるいは両方の)手が動いてしまう人もいます。これでは聴衆の視線が落ち着きません。その結果、「どこか集中できないスピーチ」という印象が残ります。
そんな目障りなジェスチャーをしてしまわないために有効なのが、手の「ホームポジション」を決めることです。ホームポジションとは、いわば両手の"定位置"のこと。ジェスチャーを「する」時には手が動き、「しない」時にはホームポジションに手が戻ることで、不必要な動きを抑制できます。
「前の位置」と「横の位置」を使い分けて自然に見せる
ホームポジションの基本は、身体の「前」か「横」です。腕と肩の力を抜き、ダラ~ンと手を下ろした状態が「横の位置」。その手を両手が重なる位置へ前に持ってきたのが「前の位置」です。どちらでも安定する方に決めれば良いのですが、自分の手に触れられる安心感から、迷ったら「前の位置」をお勧めします。
「前の位置」の基本は「片方の手をもう片方の手の甲に軽く重ねる」のが最も自然で無難です。この時、指を組んだり握ったり、両手をガッチリ掴んでしまうと逆に緊張感が見えてしまうため、あくまで「そーっと重なる程度」をイメージしてリラックスしましょう。
また「横の位置」は、ハンドマイクやパワーポイントのワイヤレスコントローラーを片手に持っている際に、とても有効です。もともと片手がふさがっている状態ですから、もう片方の手は自然に身体の横に下ろし、ここをホームポジションと定めるのが自然です。
ジェスチャーをしない時、両手は常にホームポジションへ。
コンテストの審査員をしていると、「ずっと手を前に置いておくのは不自然だから動かした方がいいと言われた」という相談を出場者から受けることがあります。この背後にあるのは、恐らく接着剤で手を固定したかのような姿勢になっていたのが原因だと思われます。
ホームポジションは、前の位置でも横の位置でも、身体の動きに連動して自然に揺れ動くものです。これが緊張や練習不足で膠着状態になるとマネキンのように不自然な印象を与えてしまいます。腕と手がリラックスしている限り、ホームポジションに手が留まっていること自体が不自然に映ることはありません。
ホームポジションを基本位置として、そこから離れてジェスチャーが生まれ、またホームポジションに戻ってくるという一連の動作を習得すれば、ジェスチャーもひときわ効果的に演出できます。
「スピーチが上手なひとは手が動いている」という誤解
それでも「スピーチでは手を動かすべき」と思う人は多いようです。これには、私は賛同しません。ジェスチャーは自然に付くものであって、付けるものではないからです。
私の研究室から全国のスピーチコンテストで優勝や入賞を収めてきた学生は、例外なく、手の「ホームポジション」を決めて大会に臨んでいます。「手がふらふらして不安定になる」という不安がある人は、迷わずホームポジションを定めて、あなたの両手に落ち着く場所を与えてあげてください。
スピーチの本質的価値はジェスチャーでは決まりません。ホームポジションを決めれば、両手が不必要に動いて減点されるリスクが無いだけでも、結果的に評価はプラスに作用します。ボディ・ランゲージの設定でお困りの際は、ぜひホームポジションを試してみてください。
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