二重母音のリズムは犬の鳴き声を真似すれば誰でも英語らしくなる
二重母音と強勢の概念を「ワンッ!」の鳴き声で体感する

英語の二重母音、特に/oʊ/ (オゥ)のような発音が「オー」という長音になっていませんか?この改善のヒントは犬の鳴き声にあります。「ワンッ!」のリズムには、英語の強勢(ストレス)と、滑らかな二重母音の音の変化を同時に体感できるヒントがあるのです。誰でも英語らしい/oʊ/の響きを出せる練習法を紹介します。
オゥ(/oʊ/)が苦手になっている発音の違いを知ろう
英語を勉強する日本人が苦手な二重母音の代表格が/oʊ/です。カタカナで表記すれば「オゥ」に近い音になります。/o/の音から/ʊ/の音へと滑らかに変化する二重母音ですが、これを日本人が発音すると「オゥ」ではなく「オー」という長音になってしまいます。
二重母音が難しい理由のひとつに、「日本語と英語」の「表記と音」の関係に存在する"ねじれ"が挙げられます。
一例を挙げると、日本語では「お父さん」のふりがなは「おとうさん」と書き、一見すると発音は「tou」の二重母音に見えます。しかし実際の発音は「おとーさん」という長音。一方、英語ではhomeやtoneのように、綴りは"o"でも実際の発音は「オゥ」/oʊ/の二重母音です。日本語と英語は、なかなか紛らわしい対応関係にあることが分かります。
ほかにも、日本語の「オーシャン」など英語由来のカタカナは、そのまま「オーシャン」と発音します。本来、英語的な発音をすれば「オゥシャン」なのですが、日頃から何ら二重母音を意識しないまま、無意識に不正確なカタカナ発音に慣れてしまっているのです。
一瞬のリズムで「オゥッ!」と鳴く犬を真似てみる
そこで犬の登場です。「ワンッ」でも「オゥッ」でもいいのですが、鳴き声が「一拍の強勢」の瞬間に完了するように、犬を真似て一瞬で素早く口を開閉し、「オゥ」というふたつの音を出す練習をしてみます。
「オゥッ!」を練習する際、最初の/o/の音を出すために口を開けたら、すぐに口を閉じて/ʊ/の音に移ります。この際、素早く口を動かすことを意識します。ちょうど犬が「ワンッ!」と勢いよく口を開閉して鳴くように、息の塊を短く、強く、吐き出すのです。
つまり、犬の鳴き声を真似するのが優れているのは、単に「ふたつの音を一瞬で作る」というだけでなく、「口が素早く動くこと」と「息のかたまりが強く吐き出される」という動作が一斉に起きる感覚を身体で覚えられるからです。
特にスピーチやプレゼンテーションでは、明瞭な音の響き(enunciation)が重視され、曖昧な二重母音は美しく響きません。さらに二重母音が曖昧になると、He is coldの/koʊld/ (コゥルド: 最初の音に強勢をかけた二重母音)と、He is calledの/kɔːld/ (コールド: 長音)さえ、明確に区別できなくなります。
犬が「ワンッ!」と鳴くあの勢いで「オゥッ!」と言ってみる。そんな簡単なことから、英語の二重母音を攻略してみてください。いくらかでも、楽しく効果的に発音が上達するはずです。
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