スピーチやプレゼンで英語を伝える基本は「動詞を立てる」話し方
とにかく動詞を意識することから伝わり方を変えよう!

多くの単語が並ぶスピーチ原稿を分かりやすく伝えるには、動詞を大切に扱いましょう。お花畑で一輪の花がひときわ目立って咲くように、英語スピーチでは大切な"動詞"をきちんと聴衆に聞かせるのが何より大切。単語ひとつ一つの発音も大切ですが、まずは動詞を「立てる」意識が重要です。これで伝わりやすさが大きく変わるんです。
英語の基本は"主語+動詞"。動詞が消えれば謎だらけ?
英語が「主語と動詞」で文章が構成されることは誰もが知っています。でもそれがプレゼンの瞬間になると、なぜか動詞の大切さを忘れてしまう人がいるようです。プレゼン原稿は、それを「読みさえすれば伝わる」というものではありません。基本は「何が(主語)+どうした(動詞)」です。動詞をおろそかにしてはいけません。
幸いなことに、主語は多くの場合文頭に登場します。文頭であれば文章の始まりですから、だれもが確実に耳に入ります。しかし動詞は違います。動詞は文章によって登場する場所は様々です。時には複雑な文法構造の影響を受け、あたかも脇役のような存在にさえ感じることもあります。
ひとつ一つの単語の発音の正確さや、滑らかな語りを練習する人でも、動詞に十分な注意を払っている人は多くありません。動詞がハッキリ聞き取れなければ、聴衆は結局「(それが)どうなったのか」が理解できず、文章は謎だらけ。かなりのストレスです。原稿に登場するすべての動詞を意識して練習をしましょう。
動詞の「立て方」3原則:強く読む、間を置く、ゆっくり読む
文章の中で大切な単語を引き立てて表現することを、スピーチの用語で「プロミネンス」(prominence)といいます。もちろん、すべての動詞をあからさまに目立たせる必要はありません。しかし、絶対に「いつの間にか流れていった」というような読み方は避けるべきです。
私の研究室では、動詞が曖昧に聞こえる学生に、原稿にあるすべての動詞に蛍光ペンでハイライトをつけさせます。そしてその動詞を「立てる」、すなわち「丁寧に伝える」ことを意識させるのです。これは「何が+どうした」という基本的な情報を、絶対に伝え漏れないようにするための、聴衆への配慮でもあります。
動詞を立てる簡単な方法は、次の3つです。使いやすいと思われる順番に並べました。
- その1:少し強めに読む
最初の基本は、動詞を他の単語よりわずかに強めの(大きめの)声で読むということです。強く読めば、しっかり聞こえます。ゆえに伝わりやすくなります。
(例) This is something we produced last year. - その2:動詞の前後に僅かな間(ま)を置く
動詞の前と後ろに「ほんの僅かなポーズ(空白)」を置くことで、動詞の存在を目立たせる方法です。[その1]を実践して強く読んでいるつもりでも、うまくいかない時に試してください。
(例) As a result, our team [間] decided [間] to postpone the event. - その3:ややゆっくり読む
最後の手段は、その動詞「だけ」読むスピードを落とすことです。そうすると動詞部分でリズムが崩れますので、その単語が耳に残ります。
(例) Our investigation first s t a r t e d in 2020.
慣れればやり方は何でも構いませんが、自然に、はっきりと動詞を「立てる」習慣をつけてみませんか。動詞が伝わるからこそ、文章は成立します。この動詞を「立てる」という意識は、聞き手の理解を助け、話者のメッセージを力強く伝える不変のコミュニケーション原理です。プレゼンをする際には、いつも意識しておきましょう。
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