英語スピーチ・プレゼンを話すスピードは「5段階の間(ま)」が決め手
聞きやすく分かりやすいスピーチは、間(ま)の適切な調整から。

スピーチやプレゼンの発表は、緊張しますよね。緊張感が悪く作用すると、話すスピードがどんどん速くなります。話すスピードを適切をコントロールするには、速度を維持する「5つのチェックポイント」を意識することが重要。「句→節→カンマ→ピリオド(文)→段落」の順に間(ま)を正しく調節すれば、緊張に負けないスピードコントロールが可能になります。
英語スピーチやプレゼンは「流暢さ披露会」ではない
すべてのプレゼンターに理解してもらいたいことは、スピーチやプレゼンテーションの発表は「英語の流暢さを披露する機会ではない」ということです。発表の成功は、流暢さが決めるものではなく、聴衆の理解度が決めるもの。まずは聴衆に分かりやすく話すということが何より大切です。
その意味で重要なのが、適切な話す速度(speaking speed)を維持することです。人前に立ってプレゼンをする時は誰もが緊張しますが、その緊張感のせいで、話す速度が速くなりがちです。初心者であるほど、ほとんどすべてのスピーカーが「練習していた時のスピード」よりも速く話してしまい、予定時間より早く話し終えるのが普通です。
さらには、少しでも「流暢な英語を話したい」という憧れも入って、休みなく話し続けてしまえば、完全に聴衆は置き去りです。こうなると、大切なメッセージだけでなく、文章を構成する重要なフレーズや単語までもが曖昧になります。それに連動して、語尾の発音も、いわゆる「滑る」状態となり、結果として「聴き取りにくい英語」になるわけです。
「緊張感」や「上手に話そう」という気持ちは、結局スピーチをダメにしてしまいます。そんな時こそ、スピードコントロールの大切さを思い返し、「聴衆の耳に丁寧に音を運ぶ」気持ちでスピーチをすることを心がけましょう。
「句→節→カンマ→ピリオド(文)→段落」5段階の間
緊張する時に思い出してほしいのが「切れ目の間(ま)」です。英語スピーチやプレゼンテーションにおける「間」は、単に言葉を区切るための「ひと休み」ではありません。その「間」をもって、聴衆が情報を処理し、意味を理解するための時間を与える重要な役割を果たしています。
誰もが憧れる流暢なプレゼンは、何となく「ペラペラと流れるように」聞こえてきます。そんな「流暢な」スピーチであっても、実際には全体を通じて適切な「間」がコントロールされているものです。
その基準になるのが、以下で説明する「句→節→カンマ→ピリオド(文)→段落」の5つの順番です。一般的な語りにおいては、この順に「間」を長くとるのが基本です。
間(ま)の長さを調節する順序
- 句:いくつかの単語で構成されるフレーズ
大切なフレーズの前後にわずかな間を置くように意識すると、発音が滑りにくくなります。それにより言葉の輪郭がハッキリし、聴き手にとって「聞きやすい」英語になります。 - 節:「句」以上「文」以下の意味の単位
一般に「意味のまとまり」を成すパーツを「節」と呼びます。語りにおいて「意味の切れ目」を意識すると、聴き手にとって「意味が分かりやすい」語りになります。 - カンマ(,):文章を構成する大切な区切り
当然ながら、文の中にカンマ(,)があるということは、そこで一旦、語りを切るべきです。この「当然」を忘れてしまう人が実に多くいます。 - ピリオド(.):文の終わり
ひとつの文章の終わりには、完全な意味の切れ目が存在します。必ず間をおいてください。意識的に間を置かずに次の文章に続ける場合がありますが、それは演出効果を優先した「例外的テクニック」であり、畳みかけるように思いをぶつける際に限って用いられます。 - 段落:メッセージの「ひとまとまり」
段落が終わったら、ピリオド2~3個分(2秒程度)の間をとりましょう。聴衆は原稿を持っていませんし、仮に持っていたとしても、話者が口頭で「ひとつの段落が終わったこと」を説明することはできません。ゆえに、大きなストーリーの転換点を示す「長い間」が必要になります。
プレゼンの練習において、ぜひ上の(1)~(5)の順番で「間」が長くなることを意識してください。すべての場面で当てはまるということはありませんが、これらのチェックポイントを意識することで、緊張の中でも自然なリズムを保ち、メッセージがよりクリアに伝わるようになります。いわば、これだけで「聴き手に優しいスピーチ」に変化します。
聴き手に優しいということは、すなわち「分かりやすく」「皆が満足感を得られる」発表になるということです。ぜひ次の練習にとり入れてみてください。伝えたいメッセージが聴衆の心にしっかり響く様子を、体験できるようになるはずです!