「お悔やみ→人柄→思い出→決意」で葬儀の弔辞を印象深いスピーチにする

ゆったりと堂々と響くお悔やみの言葉で故人に最後のお別れを

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頻繁に発表の機会がない弔辞は、誰もが苦手であって当然です。慣れないからこそ難しく考えがちですが、その構造はとてもシンプルです。率直で真心のこもったお悔やみから始め、人柄を紹介し、故人との思い出を語って、今後の決意で締める。これができれば、英語の弔辞は何も怖くありません。

豊かな声でゆったり堂々とお悔やみの言葉を

日本では葬儀の際に明瞭な言葉でお悔やみを口にすることは望ましくありません。一方、英語の弔辞では、他のスピーチと同様に、豊かで優しく響く声で、はっきりとお悔やみの言葉を述べることから始まります。

お悔やみの言葉は普段使いするものではありませんから、練習をしない限り上達することはありません。ゆえに、ある程度の定型表現に触れておき、ご不幸があった際に参照できるようにしておくことが大切です。たとえば以下のような表現がよく使われます。

  • On behalf of [組織], I would like to extend our deepest condolences and sympathy to [遺族] during this difficult time.
    [組織]を代表し、この困難な時期にあたり[遺族]に心からのお悔やみとご同情を申し上げます。
  • It is with great sadness that we have all gathered here today to say goodbye to [故人].
    私たちが今日、[故人]に別れを告げるために一堂に会したということは、とても大きな悲しみです。
  • Let us pay our profound respects to [故人] and offer unfailing support to [遺族].
    私たち皆で[故人]への深い敬いの念を示し、[遺族]に尽きることのないご支援を申し上げたく存じます。
  • It is still hard to believe that [故人] is gone.
    いまだに[故人]のご逝去を信じることができません。

お悔やみの言葉によく登場するのが "on the passing of Mr./Ms. ~" [~氏のご逝去にあたり]という表現です。故人を敬いつつ、他界された事実にあえて言及すると、亡き人への悼み(sense of loss)を表現することができます。

故人との関係性を伝える「人柄・思い出・決意」

お悔やみの言葉に続くのは、次の順番で登場するメッセージです。この流れはいわば弔辞(funeral address)の定番ともいえる構成ですので、覚えておくと役に立つ時があるはずです。

  • 人柄の一端を描写して故人を偲ぶ
    He was a man of kindness and goodwill.
    → 彼は優しさと善意に満ちた人でした。
    Her smile still shines in our hearts, and will surely remain in our memories.
    → 彼女の笑顔は私たちの心の中で輝き、そして私たちの記憶に残るに違いありません。
  • 故人との思い出や簡単なエピソードを語る
    I will always remember [故人] for his/her dedicated support for those in need.
    → 助けを必要とする人々の支援に心を砕く[故人]の姿を、私はいつも忘れることはないでしょう。
    One of my fondest memories of [故人] is when we celebrated the opening of our new office together.
    → 故人との忘れられない思い出のひとつが、我々の新事務所の開設を共に喜んだことです。
  • 故人を前に将来への決意を述べる
    We promise that our company will thrive, guided by your everlasting entrepreneurship.
    → あなたのとどまることを知らない起業家精神に導びかれ、当社はますます繁栄することを約束します。
    We will strive to honor your memory by making great strides in the field of ~.
    → ~の分野において大きな進歩を成し遂げることで、あなたの功績を称えられるよう努めます。

基本的には、このような枠組みで構成すれば、大きな違和感なく弔辞の流れが完成します。お悔やみから始まり、人柄~思い出~約束へとスムーズに流れるようにシンプルなメッセージを組み立てましょう。

最後は飾ることなくお別れのひと言で締める

最後のお別れの言葉には次のような表現があります。

  • Mr./Ms. ~, may you rest in peace.
    ~さん、どうか安らかにお眠りください。
  • Until we meet again, we will cherish every moment we had with you, Mr./Ms. ~.
    次に会える時まで、あなた、~氏と過ごした一つひとつの瞬間を私たちは大切にします。
  • We will miss you, Mr./Ms. ~ and our hearts will always be with you.
    私たちは~氏を失うことを寂しく思い、私たちの心は常にあなたと共にいます。

弔辞に限らずどのスピーチにも言えることですが、ダラダラと話さずに、ポイントを絞ることを念頭において内容を検討してください。そしてマイクの前に立ったら、ひと呼吸置いてから、ゆったりと豊かな声で話しましょう。故人への最後の語りです。自分らしい、素直な語りを演出してください。

既刊『すぐに使えるビジネス英語スピーチ100』には、「勤務先を代表して取引先会長の社葬で弔辞を述べる」という場面の英語スピーチ例を収録しています。執筆から音声収録まで、丁寧に完成させた作品です。短いながらも深みのあるスピーチを、ぜひお聞きになってみてください!


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