資格試験対策用の英語スピーチではコンテストでの入賞が難しい理由

なぜ「論理性」だけではコンテストで勝てないのか?

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「英語スピーチ」と表現される英語発表にもいろいろな種類があります。英検®やTOEIC®のスピーキング試験対策で培ったスピーチ技術と、スピーチコンテストで入賞を目指すスピーチ技術では、そもそもの構成が異なります。論理性だけで聴衆を説得するのは難しいことを知っておきましょう。

資格試験対策とコンテストでは"目的地"が違う

英語資格試験のスピーキングテストのショートスピーチで求められるスキルは「論点の合理的な立証」です。一方、スピーチコンテストで成否を分けるのは「聴衆の説得」です。この基本的な性質の違いを理解しておかないと、いくら資格試験型のスピーチに磨きをかけてもコンテストで入賞するのは困難です。

資格試験用のスピーチで求められるのは、自分の論点を合理的に立証すること。つまり「論証」です。ゆえに、その論述形式は論文や英文レポート等のアカデミック・ライティング(academic writing)の手法にとてもよく似ています。

過去記事「資格試験のスピーキングは「無理なく話せる話題」が成功への近道」でも触れたとおり、論証のためのスピーチは、序論(introduction)で論点の提示があり、本論(body)でその理由と根拠が述べられ、結論(conclusion)でもう一度論点を繰り返す。これが一般的な構造です。

一方、英語弁論大会等で期待されているスピーチは、聴衆を無理なく説得し、できれば納得や感動を生み出すスピーチです。資格試験用の「論理的」なスピーチは目指す「目的地」が違います。おのずと、構造にも変化が起こります。

理屈だけでは人は動かないというスピーチの宿命

では、資格試験対策で磨いたスピーチのスキルを、スピーチコンテスト用のプレゼンに発展させるにはどうすればよいでしょうか。その一つの答えが「人の心」を語るという取り組みです。

過去記事「説得の3要素「ロゴス・パトス・エトス」のバランスで英語スピーチに説得力を」で紹介したように、聴衆は論理性(ロゴス)だけを根拠に説得されるわけではありません。感情的(パトス)な側面、そして倫理的(エトス)な観点からも、スピーカーの言葉を受け入れるかどうかを判断しています。

資格試験用のスピーチを発表できる力があれば、論理的な組み立ては大丈夫でしょう。であれば、あとはそこに「人間味」を足すアプローチを取り入れてみましょう。

人の心に目を向けるストーリーを組み立てる

たとえば、危険運転撲滅のスピーチを考えてみましょう。論理性(ロゴス)を生かしたアプローチならば、近年の事故数の増加傾向や、死亡者の推移を的確な数値で示すのが効果的です。これは「反論できない数字の強さ」によるアピールです。

そこに「人間味」を足してみましょう。たとえば、以下のようなフレーズで、「人の心」に訴えるストーリーを加味してはどうでしょうか。

  • Can you believe that a friend you have always been with is suddenly gone because of an accident?
    いつも一緒にいた友人が、突如事故の犠牲になるなんて考えられますか?
  • When reckless drivers first got their licenses, I am sure they promised to drive safely, just like all of us here today.
    危険運転をする人も、最初に免許を手にしたときは、今日ここにいる私たちと同じように安全運転を誓ったはずです。
  • It must be a tragedy to have to live each and every day in fear of all the drivers on the road in town.
    街を行き交う全てのドライバーに怯えながら、毎日を暮らすのは悲劇と言ってもいいでしょう。

こうした表現は、統計や数字では語り切れない「人間的な感情」を聴衆の心に呼び起こします。これが、人間味のある言葉が持つ説得力です。

論理的で理詰めな語りはスピーチには欠かせない要素です。しかし、それだけでは「冷たい人だな」という印象を与えてしまうかもしれません。資格試験用のスピーチから、人を感動させるスピーチへの転換の最初の一歩として、ぜひ「人間味」の追加を応用してみてください。


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