【 100本ノック 】
100通りの“語り”を1分間スピーチの反復練習で身につける

単に英語を喋ることと、英語で語ることは違います。日本語話者が皆、プロのナレーターのように上手な日本語の語り手ではないように、英語を「喋る」から英語で「語る」への転換には意識的な訓練が必要です。そこで役立つのが、100種類のショートスピーチを用いた反復練習。通称「100本ノック」です。
繰り返し真似ることで「語りのリズム」を獲得する
私の研究室には毎年新しいゼミ生が加わります。スピーチの初学者である彼らが最初に取り組む練習が『すぐに使えるビジネス英語スピーチ100』(亀田尚己・清水利宏 著)を使った100本ノックです。この反復練習を通じて、終始単調な「ベタ読み英語」から脱却し、本格的なスピーチやプレゼンテーションに必要な「語り」を手に入れていきます。
スピーチやプレゼンの初心者を悩ませる「ベタ読み英語」には次のような特徴があります。
(1) 音読の切れ目や息継ぎ箇所が不規則(ゆえにダラダラと続く印象)
(2) イントネーション(抑揚)がない(ゆえに単調で変化に乏しい印象)
(3) 大切な単語の強調が不十分(ゆえに重要事項が不明瞭な印象)
これらを克服するために、同書に収録された100本のショートスピーチを使って次のように練習します。特に、自然な (1)切れ目、(2)イントネーション、(3)強調表現 を意識します。
(A) リスニング:原稿を見ながらCDをよく聴き、語りの特徴を耳でとらえる。
(B) オーバーラッピング:原稿を見ながらCDを聞き、CD音声と同時進行でその語りを真似る。
(C) シャドウイング:原稿を見ずにCDを聞き、聞こえた通りの語り口調を再現する。
まずはクセのない自然な「語り」から練習しよう
大統領の就任演説や著名人のプレゼンを「語りの手本」とするのも悪くはありませんが、それらは初心者向けの練習素材としては、やや特徴が際立ちすぎる傾向があります。最初は、普遍的で自然な語りをマスターする。そのうえで、特徴的な感情表現へと段階的に練習を進めると、クセが無く聞きやすい語りが身につきます。
『すぐに使える ビジネス英語スピーチ100』に付属の音声CDは、応用の利く「自然な語り」に徹して録音しました。各スピーチは1本あたり約1分。就任祝いから弔辞、支社開設の祝辞から工場閉鎖の告知まで、あらゆるジャンルが100種類もあるので毎日練習を続けても飽きません。
プロの野球選手でも毎日の素振りは欠かしません。それと同じく、みなさんも本書を活用した100本ノックを実践し、スピーカーの基礎体力ともいえる「自然な語り」を磨いてください。