同じプレゼンを繰り返し発表する人に知ってほしい「表情1割増しの法則」

聴衆には常に「初見」の感動を提供するのがプレゼンターの役目

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ビジネスの現場では、同じパッケージのプレゼンを、場所を変え、時を変えて、何度も繰り返し発表することが多くあります。ルーチン化された作業のように「またこのプレゼンか…」と発表者自身が感じた時は危険信号。そのプレゼンは聴衆に「既製品」の香りを漂わせている可能性があります。発表者にとっては何度目かのプレゼンでも、新しい聴衆にとっては常に「初見」です。常に新鮮なプレゼンを演じるためのポイントを探りましょう。

「既製品」の香りがするプレゼンには要注意

自社の商品やサービス内容に関するプレゼンは、基本的に同じ内容の構成になります。私自身、様々な業者さんの商品紹介のプレゼンを聴く機会がありますが、時折、自社の誰かがつくった「既製品」を発表しているだけ、という雰囲気がありありと伝わるケースに遭遇します。

企業規模や事業構造によっては、営業セクションやマーケティング担当部門、あるいは広報担当部局が代表して統一スライドを制作し、それを使って各担当者が「プレゼン」するというケースがあります。こうしたケースでは、発表者にとってそのスライドは最初から「既製品」になってしまいます。

他人が作った既製品のスライドを使うと、どうしても語りが「自分本来の感情表現」にはなりません。中には、PowerPointのノート機能に原稿が書き込まれていて、話す内容まで忠実に守りだすと既製品感はなおさらです。まずは、既製品のスライドを「自分のスライド」といえるまで、何度も語り込む練習が必要です。

メモを見ず聴衆に語りかけることで自分らしさを

そこで大切なのは「メモを見ないこと」です。スライドが既製品でノートやメモも既製品となれば、話者は単なる「話す機械」になってしまいます。個性が感じられ、人間らしい温かみのあるプレゼンをするには、まず自分の言葉で伝える練習をしてみるのが大切です。

もちろん、商品紹介のプレゼンであれば「言うべきこと」は決まっていて、統一的な説明原稿もあるでしょう。ただ、言葉の端々に表れる「間の取り方」「語尾のバリエーション」「スライドを説明する口調」など、決められた枠の中でも「独自性」を発揮する余地は実はたくさんあります。

まずは「メモを見ずに」語ってみませんか。おそらくとても緊張するでしょう。でもその「緊張」のおかげで、話者の誠実な人柄が聴衆の印象にしっかり刻まれるはずです。

ルーチンとなったプレゼンを新鮮に演じるコツは「変化」

上記の「既製品」の香りを漂わせてしまうもう一つの場面が、「同じプレゼンを繰り返し発表するとき」です。これは、営業活動においては日常的に起こりうる状況でしょう。覚えておいてほしいのは、発表者が何十回と繰り返すルーチンになったプレゼンでも、お客さまにとってはそれが「最初で最後」ということです。

常に「最初で最後」の緊張感をもって発表するコツは、毎回、どこかに何らかの「変化」を入れることです。簡単なスライドを足してみる。関連する話題を新しく差し替えてみる。小道具を使ってみる。最近のトレンドやニュースを口頭で補足してみる。他にも、発表時の立ち位置を変えてみるなど。どれも小さな変化ですが、これらの工夫でプレゼンが「マンネリ」になるのを予防し、自分自身に程よい緊張感が生まれます。

舞台演劇を鑑賞しにいくと、午前の部、午後の部、夜間の部、といった具合に、一日に数回、まったく同じショーが繰り返し演じられます。何度演じても聴衆には「初見の感動」をしっかり伝えるテクニックは、さすがプロの技。誰もが感銘を受けるところでしょう。

こうした舞台演劇のように、意識の持ち方ひとつで「まったく同じプレゼン」でも都度、新鮮な緊張感を与えることは可能です。でもそれは一般人にはなかなか難しいことでしょう。ですから、意識的に何か「変化」を加える工夫によって、発表者自身のマンネリ意識を防ぎ、かつ文字通り「新鮮さのある」プレゼンが可能になるわけです。

プレゼンに新鮮な存在感を吹き込む「表情1割増し」の力

「既製品プレゼン」の場合も「繰り返しプレゼン」の場合も、新鮮さを演出する共通のコツがあります。それが「表情を1割増しにすること」です。同じ内容であっても、発表のたびに常に「表情1割増し」にするのです。やるたびに、どんどん笑顔になっていきます。

たとえば定番のプレゼンをする際、いつもよりも口角を上げてみる。いつもより目を開けてみる。あるいはいつもより少しおおげさな表情を心がける。それくらい意識して初めて、聴衆には「スピーカーの新鮮な緊張感と興奮」が伝わるものです。話者の心掛けとして、ぜひ次のプレゼンから「表情1割増しの法則」をとり入れてみてください。

「既製品」のプレゼンであれば内容は既に決まってます。これを前向きに解釈すれば、中身(contents)の心配はしなくても良いということです。その分、発表技術(delivery)に工夫を集中させましょう。プレゼンはひとつのショーです。聴衆との素晴らしい時間の共有を楽しんでください。


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