英語スピーチ冒頭でデータを示すことで聴衆に心地よい緊張感を生み出す発想術
数字から始めると聴衆の緊張を高めることができる

スピーチを印象深いものにするひとつの方法が「データの取り扱い」です。説得型スピーチにおける論証データを、スピーチのどこで出すかは、データが持つインパクトに大きな影響を与えます。ひとつの可能性は、データをスピーチの冒頭で使うこと。その工夫がもたらす面白さを考えてみましょう。
データは調理前の材料。素材の味で勝負できるか?
スピーチやプレゼンにおける論証データの登場箇所は、一般的に発表の中盤です。導入部(introduction)で話題の提示があり、次に背景が紹介されて、そしてデータが登場するのが安定的なバランス。それをあえて「崩してみる」というやり方が、スピーチ冒頭でデータを示す方法です。
過去記事「英語スピーチのイントロ(導入部分)を印象的に工夫するほどに逆効果のリスク」で紹介したとおり、基本的にスピーチ冒頭で過剰な演出を狙うことはリスクがあります。しかし、その工夫にスピーチの本質的かつ核心的なメッセージが込められている場合なら話は別です。
社会問題を訴える際、スピーチで紹介すべき象徴的なデータがある場合には、それをスピーチの冒頭でいきなりぶつけるやり方は、乱暴なようですが「選択肢のひとつ」になります。なぜなら、数字を含む事実には高い客観性があるからです。
"According to"は聴衆の注目を集める切り札
データを提示する際の定番表現が、"According to ~"[~によれば]です。以下で例を紹介しましょう。まずは次のふたつの文章を見てください。
- Today, we are witnessing a new generation who rely too much on generative AI.
今日(こんにち)、私たちは生成AIに頼りすぎる新しい世代を目にしています。 - According to a survey by ~, more than 60% of university students complete their assignments using generative AI.
~の調査によれば、60%以上の学生が生成AIを用いて課題を完成させています。
通常であれば、イントロで生成AIの問題点を紹介したあとで、(1)→(2)の順番でデータが登場するでしょう。では、スピーチ冒頭で(2)から始まるとどんな印象になりますか?いきなりデータが登場する「緊張感」が感じられるはずです。
いきなりデータから始まるスピーチは、いきなり「サビ」から始まるカラオケに似ています。前置きを省いて最も印象的な部分を見せるやり方は、聞き手に新鮮な驚きと集中力を授けます。
同じデータでも、出すタイミングを変えるだけで印象が変わるのはスピーチならではの面白さです。せっかく引用するデータや数字ですから、それが最も効果的に響く「登場場所」を考えてみてください。
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