コミュニケーション以前の異文化に気付くとサロン英会話はもっと楽しくなる
ヘアカラー剤を「出す」「測る」を通り越した最高の笑顔

私がアメリカのヘアサロンでカラリストのお手伝いをしていた時のこと。私は、染毛剤の1剤と2剤、そして重さを測るハカリを用意していました。カラリストに「何と声を掛けようか」とあれこれ考えていると、彼は満面の笑みで"Thanks!"と言ったあと、ハカリを使わずに薬剤を計量し、また笑顔で去って行きました。そこから感じられた発見をご紹介します。
ひと言も言葉がいらなかったコミュニケーション
カラリストのためにすべての薬剤や道具を揃えて、今から私が声を掛けようとした瞬間、彼は笑顔でハカリを横にどけました。その時、こんなやりとりをしたのを覚えています。
- Aren't you going to use a scale for hair coloring?
私「ヘアカラーにハカリを使わないんですか?」 - Would professional chefs use it for cooking?
彼「プロの料理人が料理でハカリを使うかな?」
彼の鮮やかな笑顔とユーモアには、「万全の準備を無駄にしないように」という私への配慮が詰まっていました。接客業のプロとして「言葉以上のおもてなし」を届けるという、異文化コミュニケーションの奥深さに感動した瞬間です。
サロン英語を勉強するスタイリストの皆さんは、つい「何て言おうか」を先に考えてしまいがちですが、そもそも、接客の一瞬一瞬で求められるおもてなしは、「言葉」ではないことが多くあります。言語が違うと、その大切さがさらに顕著に感じられるかもしれません。
サロン英語は笑顔と配慮が言葉を超える力を持つ
わからない英語表現があるたびに辞書を引いて正確な英語を探すことは、学習者としてはとても素晴らしい習慣です。しかし、サロンの現場に立つ人間としては、その「正確さ」よりも大切なことは、いつも「笑顔でコミュニケーションを取り続けること」ではないでしょうか。
日本で働く日本人スタイリストに、英語の母語話者のような英語が期待されることはありません。それよりも、「このサロンに来て良かったな」と思える安心感や、「このスタイリストに施術してもらえて嬉しかった」と思ってもらえることが大切です。
私が準備したカラー剤やハカリを最高の笑顔と配慮で「素通り」していったスタイリストのことは、今でも思い出すことがあります。そして彼を思い出す時には必ず、「何のために自分は英語を勉強したのか」という初心を振り返るようにしています。
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