美容師/理容師の「サロン英会話」上達の秘訣は接客時の共感力にあり

共感力を高めたコミュニケーション力で言葉の壁を越える!

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グローバル化が進み、海外からのお客様をお迎えする機会が増えている美容室や理容室。いざ英語で接客しようとすると「英語に自信がない…」「うまく伝わるか不安…」と感じる方も多いでしょう。でも実際には、外国人のお客様を惹きつけるのは、流暢な英語力ではなく、お客様の心に寄り添う「共感力」です。言葉の壁を越え、お客様との絆を深めるカギは、日頃の接客態度や豊かな表情にあります。

相手の気持ちに寄り添う感情表現を意識する

サロン英語を使った接客は、経験豊富なスタイリストでも緊張するものです。特に、ヘアサロンでの接客は1時間以上にわたり、かつ身体的な接触も多いため、その緊張感は特別なものがあります。そんな国際接客において大切なことは、言葉にしっかり気持ちを乗せること。それがお客様との距離を縮める「共感力」を高めます。

サロンでの英語接客に慣れないうちは、一つひとつの言葉を話すことに注意が向き、本来の「温かな接客」が失われることがあります。お客さまが求めているのは「上手な英語」ではありません。サロンで過ごす時間を、穏やかで幸せなものにするのは、日ごろの接客態度や笑顔です。

著書『外国語(英語)』(日本理容美容教育センター刊)の16ページでは、感情を表すための「豊かな表情」についての"練習"があります。サロン英語のテキストでなぜ「表情練習」なのか、と思われるかもしれませんが、あえてその練習ページを設けたのは、実際の英語接客では「表情」にまで注意が至らないことが多いからです。

外国人に対する接客では、慣れない髪質に対する施術に集中しなければなりません。そんな時、さらに慣れない英語での接客となれば、日頃の豊かな表情が失われがちになるのも納得です。だからこそ、嬉しい話題には満面の笑みで、驚きの話題には純粋な驚きの表情を見せることが、お客さまへの「共感力」を示すことにつながるのです。

「共感力」の大切さは言語が違っても変わらない

誰しも、誰かに共感されることは嬉しいものです。自分が嬉しいことを嬉しいと思ってくれたり、自分が悲しい時に悲しみを共有してくれたり。それは、言葉というよりはむしろ態度や表情で伝わるものです。英語での接客においては、相手の気持ちへの共感を態度にしてハッキリ示すことが大切です。

英語で感情表現をする際、最も理想的なのは、言葉と声と表情が連動することです。たとえば、楽しい話題には、(1)嬉しさを表現する言葉、(2)明るくハリのある声、(3)笑顔と喜びの態度、これら3つが揃って初めて「本当の楽しさ」をお客様と共有し、その喜びに共感を示すことができます。

英語での接客が不慣れで、3つを連動させるのが難しい場合、優先すべきは「(3)笑顔や喜びの態度」です。いくら言葉が美しくても表情が曇っている人を信用することはできません。外国語が流暢でなくても、お客さまは意図を汲み取ってくれますが、表情や態度はそのまま伝わってしまいます。言葉と態度のズレで誤解を生まないように、まずは日ごろの接客態度と豊かな表情を忘れないようにしましょう。

たとえば、ヘアカタログを見てオーダーを指定したお客さまに何と言いますか? "Yes, this will difinitely suit you!" [はい、こちらは絶対にお似合いです!] という言葉を伝える時、心から「わあ!ステキ」という表情が出来ているでしょうか。英語の発音や伝わる不安に負けず、ステキな喜びに「共感」を示すことができれば合格です。

英語が苦手でもデリバリーの力で乗り越える!

言葉よりも態度が優先するというのは、英語が苦手な理容師美容師にはむしろ励みになるかもしれません。その意味では、日本語での接客も、英語での接客も、お客さまの気持ちに寄り添う「共感力」の重要性は共通するといえそうです。

「どのように気持ちを伝えるかの配慮」や「言葉に気持ちを乗せる技術」のことをコミュニケーション研究の用語で「デリバリー」(delivery)といいます。デリバリーは、英語で接客をする技術者の人柄を伝える技術でもあります。「英語が苦手でも人柄で勝負!」というのは、何も乱暴な説明ではなく、英会話における真理ともいえる心掛けなのです。

"Thank you very much for coming" [お越しいただきありがとうございます] で始まり、"We look forward to seeing you again soon" [またのお越しをお待ちしております] で終わる一連の接客で、ぜひお客さまの気持ちを察して態度に示す「共感力」を意識してみてください。

「いい時間を過ごせた」というお客様の満足を生むのは、スタイリストの技術もさることながら、親切な人柄です。これもまた、日本語の接客でも同じことがいえるでしょう。サロンでの国際接客では言葉よりも大切なものがある、という信念を持って、国際派スタイリストを目指してください。

さて、次に鏡の前に立った時、「最高の笑顔」や「純粋な驚きの表情」を確かめてみましょう。次にお客様をお迎えする際には、たとえ英語が拙くても、心からの温かい気持ちを表情と態度で伝えてみてください。お客さまの気持ちに寄り添う「共感力」が、お客さまとの絆を築く第一歩となるはずです。


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