説得力は"実践"で決まる!課題解決に取り組んだ実績が聴衆の心を動かす
他人事ではなく、みずから問題解決に向けた取り組みを示す。

説得型スピーチで最も盛り上がるはずの「解決策」の提示。しかし、どこか気持ちが伝わらない経験はありませんか?聴衆が本当に求めているのは、机上の理屈ではない「本物感」です。あなた自身が問題解決に関与している実績を示し、スピーチの説得力をアップさせる方法を考えます。
理詰めの解決策に「体温」を与えるアプローチ
説得型スピーチの基本は、様々な考察を経て独自の解決策を聴衆に問うことです。ここで多い失敗は「理詰めな解決策」を語って、聴衆との距離が開いてしまうこと。頭では理解できても、どこか上から目線に感じる解決策は意外に多いものです。
過去記事「政府に丸投げの説得型スピーチでは勝てない!審査員目線で解決策を考える」でも解説しましたが、呼びかける解決策に何らかの形で自分も関わることを表明するのは優れたアプローチです。それをさらに強化したパターンが「自分は既に解決に取り組んでいる」というストーリーです。
「みずから解決策を試行した経験」を語ったり、あるいは「今後何らかの解決策の実践に関わること」を約束する取り組みがこれにあたります。要は、単に理詰めの解決策を示すだけでなく、その解決策を自身の行動として「目に見える表現で」補うということです。
個人でもできる!「実績」の示し方のコツ
社会全体の問題や地球規模の課題をスピーチで扱う場合、「個人」でできることは限られるかもしれません。でも「実績」の定義を少し広げて、自分の行動を紹介することで、説得力を高めることはできます。
たとえば次のような例も、スピーチでは十分な「実績」としてアピールできます。
- 個人的な関心を実際の行動に移した実績
太陽光パネルのメリットやデメリットについて、自治体や企業が主催する勉強会の運営に関わっている。 - できる範囲の解決策を試行した実績
地域美化の一環として、新たなゴミの分別方法を自身のマンションで試行し、ゴミのリサイクル率を向上させた。 - 個人的なリソース(労力や資金)を費やした実績
課題解決を推進するNPO/NGOの活動に参加している。あるいは、わずかでも自己資金を寄付している。
こう考えると、課題発見から課題解決を訴えるプロセスの中で、自分が既にその「一部」を担っていることはあるのではないでしょうか?それを訴えることで、「エトス」(人間的な説得力)が向上し、スピーチは強くなります。
意志より実践力を示す!信頼性と実現可能性の大切さ
自分が提示する解決策について、その一部(あるいは全部)を既に自分自身で実践済みというストーリーは、話者本人の信頼性を向上させます。また、自分で実践できているということは、すなわち「実現可能性」があることの裏返しでもあり、実践のための「心理的な壁」が低いことを示せます。
自分自身の解決策の実効性を示すには、まず自分がその提案をデモンストレーションしてみるのが良い方法です。それは、ちょうど目の前で「実演販売」をするかのように印象的な取り組みになります。問題解決に向けた「具体的なアプローチ」を語っているのなら、まずは自分が実際にやってみてはどうでしょうか。
説得型のスピーチでは、「頑張ります!」という意志表明や、「頑張りましょう!」という理詰めの訴えだけでは、実際にはなかなか難しいという印象で終わることが多くあります。解決策のわずか一部でも「自分で実際にやってみる姿勢」を、スピーカーは失いたくないものです。
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