書きやすいスピーチのテーマは「見えるもの」を選ぶと驚くほど伝わる

見えるもの、触れられるもの、実体的である強さを味方につける。

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スピーチのテーマ選びは誰もが迷うものです。そんな時は、とりあえず「見えるモノ」から選ぶととってもスムーズ。目に見えない概念的なモノよりも、目に見える物体には、手に取って感じることができる確かな説得力があります。スピーチのテーマを検討する際の基準として意識してみてください。

話しやすさはテーマの「見えやすさ」に連動する

視覚資料のあるPowerPointのプレゼンとは異なり、言葉だけでメッセージを伝えるスピーチは、テーマ選びの段階でつまずいてしまいがち。写真や図表等の視覚補助(visual aid)に頼れない分、スピーチの分かりやすさは、話している内容の「見えやすさ」に連動するという理屈は納得できるでしょう。

見えないモノと見えるモノの違いとは何でしょうか。たとえば「無駄遣い」は見えませんが「空っぽの貯金箱」は見えます。同様に、「友達への思いやり」は見えませんが「丁寧に書いた手紙」は見えます。

もう少し例をあげましょう。「努力の尊さ」という見えない概念を話すより、「汗と泥にまみれたスパイク」の話をする。「海洋汚染の深刻さ」を話すより、「海岸に打ち上げられた大量のプラスチックごみ」の話をする。以上の例から、「見えるモノが持つ伝達力」のイメージが感じられるでしょうか。

つまり、概念的なトピックよりも、それを象徴するような見えるモノをトピックとして扱い、それを中心に話を構成すると、全体のストーリーが漠然となりにくく、確固たるメッセージを与えることができるのです。様々なテーマを検討する最初の段階で、「これは聴衆にとって"見える"テーマかな」と、まずは自分に問いかけてみましょう。

見えるモノを切り口にしてストーリーを構成する

スピーチで、いきなり見えない概念を切り出されると、聴衆は一瞬、理解に戸惑います。「高校生にとってアルバイトは大切な経験になる」ことを訴えるスピーチでも、「アルバイトから学ぶものは貴重です」と言うより「初めてのアルバイトで買った文房具が僕の宝物です」と言う方が、クリアに伝わります。

このように、目に見えるモノを話題の切り口にして、見えない価値へと話をつなげていく、というのがスピーチを書くときの基本的な考え方です。スピーチで何を話そうかと考えるときに、最初から「見えているモノ」をトピックに選ぶと良い、という背景には「見えるモノ」の伝わる強さがあるわけです。

高校生が授業で英語スピーチをするような場合、「部活動の大変さ」について話をするよりも、その部活動を象徴するモノ(スポーツの道具など)を紹介しながら、「その思い出」や「その経験から学んだこと」を語る方が分かりやすいスピーチになります。

目に見えるモノは、その姿や形が容易に想像できますから、聴衆と話者が双方の頭の中で「同じイメージ」を描きやすくなります。同じイメージを描けるということは、それだけ意思疎通がスムーズになり、結果的に誤解も少なくなります。

スピーチのテーマは、まずは「見えるモノ」から選びましょう。見えるものを味方につけてストーリーを展開すれば、聴衆にしっかりと記憶されるスピーチになります。またスピーチにおいて、見えるモノからストーリーを組み上げる工夫は、そのままストーリーテリング(storytelling)の訓練につながります。

「見えるモノ」でスピーチを強くするテクニックを使い、他のスピーカーに差をつけてください!

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