スピーチ原稿を短縮するときは思い切ってパラグラフを削除してみる
大幅なカットを試みることで改善のヒントが見えてくる

一度完成した発表原稿を短くする必要があると、どこを削ろうかと悩みますよね?そんな時に試してもらいたいのが、「パラグラフ(段落)をごっそり抜いてみる」という荒業です。原稿を大きく削ってみると、少しずつカットしていただけでは気づかなかった視点が得られることがあります。
段落カットによって「身」か「余分な肉」かを判断
発表時間の制約に合わせるため、完成した原稿を短縮する必要に迫られることがあります。スピーカーにとっては、どこを削っても「身を削るような」気持ちになる瞬間です。原稿に向き合うほどにどの部分も大切な「身」ばかりで、どこにも「余分な肉」は無いように見えるからです。
原稿に深く入り過ぎて「削れる部分」が見えないときは、過去記事「スピーチ原稿を書き上げたら1週間の冷却期間を置いてから推敲する」のように、時間的に原稿から離れてみるのが効果的です。ただ、コンテスト提出用の改訂原稿の提出が迫っている時など、余裕がないこともあるでしょう。
そんな場合には、一度「関連が薄い」と思われる段落をごっそりカットした原稿を試作してみることをお勧めします。解決策が提示されていたり、本質的な問題点を言い切っている段落は削除せず、「主張を論証する段落のうちのひとつ」や「個人語りが含まれる段落」を削除してみてください。
大切なパーツも「そう見えていただけ」かも?
随分と乱暴な提案のように聞こえるかもしれませんが、ひとつの段落を抜いたり、あるいは特定の段落のほとんどを消去しても、全体の話の流れに大きな影響を与えないことはよくあります。
一見すると「削除しても通じるということは、そもそも無駄だったのか」と思うかもしれませんが、決してそうではありません。スピーチには、「有ればなお良いが、無くても通じる」というパーツが存在します。多くの場合、それらは「いくつかあるうちの論証段落のひとつ」や「背景を脚色するための個人語り」であることが多いです。
学生のスピーチの添削において、意外にもありえるのが「第一段落」をカットしてスリム化した事例です。スピーチやプレゼンテーションでは、ストーリーの雰囲気を演出するために「プロローグ」のような語りを入れることがあります。ただ、これも「有ればなお良いが、無くても通じる」パーツとなっているケースもあります。
あるスピーチでは、物語の背景となる自分の経験を語っていた「第1段落」をごっそりカットし、第2段落の現状分析(データ共有)から入るように改訂したことで、スピーチ全体のイメージが洗練された経験があります。もちろん、導入部(introduction)として成立させるために若干の調整は必要ですが、いわゆる「単刀直入」な好印象を与える効果が望めます。
微細なカットを繰り返しても、原稿が制限時間に収まらないような場合には、ぜひ大胆なカットを試行してみてください。意外なほどに「無くても行けるかも!」ということに気付く場面があるでしょう。
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