説得型スピーチで絶望感を表現する方法は自分を俯瞰して客観的に語ること

自分を客観視することが聴衆との一体感を促進する

説得型スピーチで絶望感を表現する方法は自分を俯瞰して客観的に語ること トップ画像

説得型スピーチを作成する過程において、絶望感を感じる瞬間は、話者の感情に大きな影響を与えます。スピーチでは、自信の絶望的な経験をストーリーとして共有したり、そこから何かの学びを得て新たな主張につなげたりします。どのような辛いストーリーであれ、常に客観性と冷静さを維持してスピーチを展開することが大切です。

話者にとっての絶望は聴衆にとっての絶望とは限らない

スピーチコンテストの審査員をしていると、話者が体験した「絶望感」をリアルに描写しようとするあまり、過剰に感情的な語りを展開する場面によく出会います。確かに、絶望的な感情はドラマチックなのですが、スピーチにおいて自分の絶望感を必要以上に感情的に表現するのは、避けるべきです。

その理由は簡単で、話者にとっての絶望的経験は、必ずしも聴衆にとっての絶望感にはつながらないからです。特に、自分自身の絶望的な経験を一人称(私の視点)で語る時には、感情移入しやすくなる状況も重なって、聴衆には「大げさ」や「わざとらしい」響きになることがある点には注意してください。

「自分の辛い経験」をそのまま聴衆にぶつけるだけでは、聴衆は感情移入できません。話者の絶望感に対する聴衆の共感を呼ぶには、そのストーリーに「聴衆の目線」を加えることが必要です。

聴衆目線で語るには物事を客観視する姿勢を

「ひとりよがり」になりやすい絶望的な感情の描写をスムーズに運ぶ秘訣は、語りの中に「客観的な目線」を加えることです。客観的な目線とは、すなわち「聴衆目線からの描写」のことです。

信じる人に裏切られた、自分の実力の無さを知った、愛する人を失った、など、話者が経験した「絶望的な出来事」を通じて、一般社会へのメッセージを述べるスピーチは珍しくありません。そのアプローチ自体は悪くありませんが、個人の感情の偏りが大きいと、聴衆は聞いていてしんどくなります。

それらを客観的に語るためには、「辛かった」「悲しかった」という一人称による描写だけでなく、その経験をしている自分自身を、離れたところから俯瞰して観察する「もうひとりの自分」の視点を加えます。

たとえば「高校生の時に親が亡くなった悲しみ」を述べる際、「悲しかった、辛かった」という感情表現だけで終わらず、その状況を俯瞰して「それは15歳の少年には抱えきれない悲しみだった」と述懐するのです。このひとことがあるだけで、その絶望のストーリーが聴衆視点を獲得できるのです。

聴衆と感情を擦り合わせる「冷静な語り」

絶望的に辛く悲しい話をする時だからこそ、感情的にならず、客観視する。当事者にはとても難しいことかもしれませんが、その冷静さが、英語スピーチにおける「聴衆との感情のすり合わせ」には必要です。泣き叫ぶだけでは、聴衆は心を寄せたくても寄せ方がわからないものです。

スピーチやプレゼンテーションの中で、どこか感情的なストーリーテリング(storytelling)をとりいれる際には、この「自分を俯瞰する自分」の目線を、ぜひ覚えておいてください。


■ あわせて読みませんか?
伝わるスピーチは冷静に始まる。感情的なイントロが逆効果な理由とは?

イントロで感情を爆発させる話者に、聴衆はついていけない。 英語スピーチのイントロに、感情を入れすぎていませんか? 何とかイントロを印象的に演出したいという熱意は…

英語スピーチのオープニングはジェットコースター式「緩スタート」が鉄則

スローな「緩(ゆる)スタート」が変化と興奮を呼び起こす スリル抜群のジェットコースターも、始まりは恐ろしいほどゆっくりです。ゆったりしたスピードで始まるからこそ、…

お問い合わせ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です