いつもの"普通"は世界で通じる?ヘアカラーに学ぶ異文化コミュニケーション

そもそもの「普通」を更新することが国際派美容師の基本

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ヘアカラーで欠かせない概念に「ベースカラー」があります。毛染技術の基本となる概念ですが、そもそもこの「ベース」という考え方は、厳密にはお客さまごとに違いますし、国が変わればさらに大きく変わります。私たちが「普通」と考えてしまいがちなベースカラーから、国際派の理容師・美容師のための異文化コミュニケーションについて考えてみましょう。

「普通」が変わると「視点」も変わる国際接客。

国内のサロンで日本人の顧客だけを相手にする限り、ベースカラーで悩むことはありません。その一方、これは私自身も海外のサロン経験でとても驚かされたのですが、海外サロンでは様々なベースカラーが揃ったカラー剤(color cream)の豊富さに圧倒されます。これは、いわゆる「地毛」(natural hair)の基準が日本とは大きく異なることによる違いです。

日本人を含む東洋人の髪は基本的に暗くて太く、さらにカラー2剤(髪の色素を脱色・発色させるための過酸化水素水)も6%が上限であることから、カラースケールには常識的な限界があります。一方、西洋人の髪は一般に細くて明度を上げやすく、カラー2剤も6%を超える商品があります。さらには地毛の明度も大きく異なります。ゆえに、日本人美容師・理容師のカラーに対する"普通"は、国際的に見れば、まったく"普通"ではありません。

この"普通"を経験とともに変化させることが、国際接客にはとても重要です。ヘアカラーを例にすれば、「少し明るく」や「少し暗く」といった表現も、地毛の明度が違えばその「少し」のレベルそのものが異なる場合があります。また、明度を上げれば赤味が出やすい日本人の髪質を前提に「茶色」を議論すると、元々ブロンド系の地毛を持つ外国人顧客が求める「茶色の色味」とはズレてしまうこともあるでしょう。

サロンの様々な場面において、この「普通」が大きく変わることを受け入れ、それに順応する経験を積むことが国際派の美容師・理容師には求められます。グローバル化が加速する現代において、日本のサロンでも外国人顧客の多様化が進めば、日々の"普通"を柔軟に捉える姿勢がますます「当然」になっていくはずです。

新しい「普通」に順応することで国際接客力を高める

理容師美容師に求められる「サロン英語」は、お客さまとのコミュニケーションツールです。ヘアカラーにおける"普通"の違いと同様に、お客さまとの「異文化コミュニケーション」においても、私たちが「普通」だと思うことが普通でない場面は多々あります。

たとえば簡単な接客対応の場面においては、日本では握手やアイコンタクトは控えめですが、海外では必ずしもそうではありません。最初に施術するシャンプーでも、その長さやお湯の温度、マッサージの強さなど、日本の「普通」は、外国人顧客には「やりすぎ」と感じられることも多いです。

そうした違いに気づいた時、これまでの「普通」を上書きし、新しい普通に順応できるかが、サロン英会話における異文化コミュニケーションが成功するかどうかを分けるのです。

これは、もはや単純な「英語力」のお話ではありません。国際的な美容師理容師としての活躍には、こうした順応性が重要であり、それによってコミュニケーション力は大きく向上する可能性があります。

ぜひ国際基準における「普通」の違いを楽しみ、その基準を柔軟に更新して、ためらわずに受け入れてみてください。お客さまの喜ぶ姿が目に浮かぶはずです。日々の研鑽によって、国際接客をリードするスタイリストになってください!


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