サロン英会話の必須英単語"hair"。髪の毛は可算名詞?不可算名詞?

「髪」の毛か、髪の「毛」か。"hair"にまつわる名詞の面白さ。

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理容室・美容室での「サロン英会話」で、繰り返し登場する英単語に"hair"があります。誰もが知っている簡単な単語ですが、文法的な取り扱いはなかなかユニークです。"a hair"や"hairs"のように数えられる「可算名詞」でしょうか。それとも"hair"単独で使用し、複数形も使わない「不可算名詞」でしょうか。髪の毛にまつわる英語の名詞"hair"の取り扱いについて、考えてみましょう。

そもそも英語の「可算」「不可算」とはどういう意味か?

英語の名詞には、日本語には無い「数えられるか」「数えられないか」という概念があります。これは中学校で習う英語の基礎文法のひとつです。簡単に言えば、目にみえて「ひとつ」「ふたつ」と数えられるものは可算名詞、形が曖昧あるいは目に見えないものは不可算名詞、のように習った人も多いでしょう。

サロン英語で考えると、"comb" [櫛]や"brush" [ブラシ]は文字通り目に見えて数えられる道具なので、単数だと a comb / a brush、複数になると combs / brushes となります。一方、"water" [水]や"information" [情報]は形が曖昧であり、数えるのが難しいので"a water”や”an information"のように単数で表現したり、あるいは"waters"や"informations"のような複数形にもなりません。

一方、同じ名詞でも可算名詞と不可算名詞の両方になりえるものがあります。たとえば"fish" [魚]。可算名詞として"a fish"といえば「お頭付きの魚一匹」の意味ですが、不可算名詞として冠詞("a")を使わず"fish"と言うと「魚肉」という意味になります。それぞれ、魚という「個体の形の有無」がそのまま可算/不可算に反映されていてわかりやすい例でしょう。

髪の毛を全体として捉えるか、一本一本に注目するか。

では、ヘアスタイリストに馴染みの深い"hair"を考えてみます。髪の毛は「見える」ので可算名詞で良いでしょうか? 結論から言うと、"hair"は(先ほどの"fish"のように)可算名詞にも不可算名詞にもなる名詞です。その使い分けを見ておきましょう。

まず「髪の毛」の"髪"、すなわち髪全体を捉えた場合、hairは不可算名詞になります。"You have beautiful long hair" [あなたは長くて美しい髪をお持ちですね]のように、髪全体を指す表現としてhairを使う場合には、冠詞"a"を必要としません。不可算名詞ですから複数形にもなりません。スタイリストなら、この不可算名詞としての用途が多いでしょう。

一方、髪の毛の"毛"(1本)に着目した場合、"You have a long hair on the shoulder" [肩に長い毛が1本付いていますよ]という意味になります。この"a long hair"は「1本長い毛」であり「長髪一式」ではありません。この表現は、ちょうど抜け毛が肩に落ちているような状況を表現しています。

同様に、メンズスタイリングで刈り込んだ毛が襟元に入ったような場合、お客さまは"I feel short hairs around my neck" [首回りに短い毛を感じます]といったクレーム(complaint)を寄せるでしょう。"short hairs"という表現から「何本かのチクチクする毛」がイメージできれば、可算名詞としてのhairの理解は合格です。

単数/複数/不可算の概念を、サロン現場で考えてみよう。

こうした説明を「文法学習」と捉えるとサロン英会話は難しく感じられるかもしれません。でも実際のモノが登場するサロンの光景をイメージしてみると、理解がはかどるはずです。様々なサロン英語のルールは、ぜひ実際のサロン現場に落とし込んで考える習慣をつけましょう。

理美容業界に特化した私の著書『外国語(英語)』(日本理容美容教育センター 刊)の巻末(pp. 107-119)には、理容師・美容師のための「和英表現集(用語集)」が付録として編集されています。そこに載っている名詞について、「これは複数形をとるかな?」と考えてみると、ユニークな英語学習法になるかもしれません。


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