【 客観力 】説得型スピーチを言語化する基礎力は聴衆との距離を測る客観性

説得する側と説得される側の接点は客観性にある

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説得型の英語スピーチに挑戦する際、ついつい陥る失敗が「自分のスピーチを客観視できなくなること」です。誰かを説得しようと思えば、その反対側には説得される人がいます。その両者を結ぶのは客観性です。客観的に言語を運ぶ「客観力」を味方につける方法について考えます。

相手との距離を詰めるために現時点の距離を知る

説得型スピーチを考えるとき、まずは社会と向き合いつつ、自分の「主張」を組み立てます。自分の意見を述べるわけですから、その主張は基本的に「主観」に基づく意見となります。

話者自身が特別なカリスマ性を持つ人物である場合や、特異な立場にいる場合を除き、主観的な意見がそのまま相手に受け入れられることはありません。スピーチで聴衆を納得させるためには、「客観的な論証」というプロセスを経る必要があります。

スピーチで「論証」というと、すぐにネットでデータを探したり、ニュース記事を検索したり、といった行動をとりがちですが、その作業の前に考えるべきポイントがあります。それが「聴衆との距離感」です。

聴衆(説得する相手)が自分の味方なのか、反対の立場にいるのか、あるいは中立か。論証のプロセスにおいては、原稿作成にかかる前に、聴衆(説得相手)の立ち位置を把握しておくことが役立ちます。

反対意見を持つ聴衆には客観性のレベルを上げる

基本的に、穏やかに耳を傾けてくれる聴衆であれば、誠実かつ親しげに語り掛けることで、双方の間には一定の客観性が保たれます。しかし、完全に反対意見を持つ相手には客観性のレベルを上げる必要があります。

客観性のレベルを上げるには、多角的な論証材料(データ)を示したり、過去記事で紹介した「同一化」(identification)というテクニックによって相手の立場に理解を示すのもその一例です。相手との距離を把握しなければ、説得型スピーチは主観的な意見の塊となるリスクがあります。

スピーチ研究の世界には「聴衆分析」(audience analysis)という言葉があります。これは、相手の趣味嗜好やモノの考え方などを把握するように努めることです。聴衆を分析する際には、こうした基本的な聴衆分析に加えて、ぜひ「自分と聴衆との距離感」を意識してください。

「客観力」を高める2つのアドバイス

こうした距離感を冷静に判断して語り掛ける力を「客観力」と呼んでいます。話者には言いたいことがたくさんありますが、その言語化された主張を受け入れるかは相手次第です。主張を受け入れられやすくするには、相手に合わせて論証や語り方を調整する必要があります。

主張の"距離"が離れている相手に、一方的に親しげに語り掛けても、言葉は冷たく響くだけです。そうしたミスマッチを防ぐ要点は、以下のとおり整理できます。

  • 反対の立場にいて、自分と距離が「離れている」聴衆に対しては、落ち着いて言葉を運びながら、多角的な論証で少しずつ距離を詰める工夫が必要です。
  • 自分の主張を穏やかに受け入れてくれる、距離が「近い」聴衆には、理詰めにならず、親しみを持って語り掛ける必要があります。

このように、相手との距離に合わせて、都度、状況に応じた客観性に気づき、それを応用する力が「客観力」だといえるでしょう。

原稿作成にかかる前に、想定される自分の聴衆について思いを巡らせてみてください。どれくらいの「距離」を詰めていく必要がありますか?自分の言葉や振る舞いを客観的に判断する「客観力」を意識し、ひとりよがりな語りにならないように気をつけたいものです。


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