優勝・最優秀賞|"My Words for Peace"
第13回 城西大学 英語スピーチコンテスト|2024/8/1 城西大学

2024年8月1日(木曜日)、「第13回 城西大学 英語スピーチコンテスト」(主催:城西大学 リベラルアーツセンター、後援:埼玉県・テレビ埼玉・毎日新聞社ほか)の全国決勝大会がオンライン(Zoom)で開催され、当研究室所属の3年生が優勝し、最優秀賞・城西大学学長賞を獲得しました。
同大会での清水ゼミ生の入賞は、前年の第12回大会(2023年)の鶴ヶ島市長賞に続く2回目。対面だけでなくオンラインによる英語弁論大会においても、優れたメッセージ性が評価されています。
戦争と平和を議論する「言葉の力」を今の時代に問う
最優秀賞を獲得した演題は "My Words for Peace" [平和へのことば]。歴史上の偉人たちが平和への思いを言葉にしたように、私たちも平和への願いを言葉に託し行動しよう、と呼び掛けました。
戦争や平和は、スピーチにおける「普遍的なテーマ」のひとつです。普遍的なテーマを扱う難しさについてはブログ記事「普遍的なテーマの英語スピーチは難しく面白い」で触れましたが、今回の優勝作品はまさにその代表格。戦争を止めることを否定する人はいませんが、一方、数分間のスピーチでその解決策を提示することは非常に困難です。
それでもなお「戦争」をテーマに選んだ理由は、そのテーマの重要性は言うまでもなく、戦争というテーマの規模や扱いの難しさから、多くの人が避けるであろう題材だったから。そこであえて、大学生として難しいテーマに挑戦しようとする「スピーチマインド」の発想がありました。
結果的に優勝を収めた背景には、普遍的なテーマを演じ切った話者の人間力や、テーマ選定の工夫があったと振り返ることができそうです。
大きな話題を小さな規模で例示するメタファの力
今回優勝したスピーカーは、世界を教室に喩え、国をクラスメイトに喩えました。クラスメイト同士の争いなら誰もが止めようとするはず、という身近な正義感を世界規模の紛争に当てはめたのです。これは、規模感が大きくて把握しにくいテーマを、身近なもので表現する比喩(metaphor)の力を応用したレトリック(修辞術)です。
スケールの大きな「人生」を身近な「旅」に喩えてみたり、複雑な「企業合併」を身近な「結婚」に喩えたり。スピーチでメタファをうまく使うと、聴衆の理解を促すことができます。
誰もが既に知っている「既知の事象」を、誰もまだ知らない「未知の事象」に当てはめて理解させるのがメタファの力です。英語では "A is B." [AはまさにBです]、あるいは "A is like B." [AはBのようなものです] といった簡単な表現で応用できます。
今回の優勝スピーチには "Suppose the world is a big classroom." [世界は大きな教室なんだと思ってみてください] という表現がありました。つかみどころのない「世界」を、誰もが知っている「教室」に置き換えることで、一気に理解が進む効果を感じられるでしょうか。
いつの時代も、人を動かしてきたのは「言葉の力」です。今回の優勝スピーチは、その偉大さを改めて感じさせてくれる力強い英語弁論でした。