最優秀賞|80周年記念シンボルマークデザイン
武庫川学院 創立80周年記念シンボルマーク公募|2017年11月

少し懐かしい話題ですが、武庫川学院の「創立80周年記念シンボルマーク」の意匠を制作したのは私です。現在は創立90周年を迎えようとしていますが、清水が武庫川女子大学に着任した頃は80周年記念に向けた準備が進められていました。シンボルマークのデザイン公募はその一環で開催され、お蔭さまで最優秀賞に選出していただきました。(ありがとうございます。)
シンプルであることの大切さはデザインもスピーチも同じ
なぜスピーチの専門家がデザインを?と尋ねられることがありますが、私は実務家時代に広告制作業務に従事していたことがあります。グラフィックデザイナー向けのAdobe社製アプリケーションを操れるのは、そうした経緯があるからです。
デザインとスピーチには、「シンプルさを追求する美学」に共通点があります。デザインと「プレゼン」の共通点であれば、お互い視覚的なモノ同士ですから理解を得やすいのですが、私があえて比較するのは「デザインとスピーチ」です。
商業デザインはそれ自体の価値以前に、そこから伝えるべき商品やサービスを速やかに想起させる使命を負っています。そのために目的を絞ったシンプルなデザインが設計されます。スピーチも同じです。スピーチは目に見えるモノがありませんから、スピーカーの「頭の中にある絵」を、聴衆の頭の中に言葉で描写しなければなりません。そのためには、極めてシンプルなメッセージが設計されます。
見えるモノを使って伝達するメッセージはシンプルに整理する
一方でPowerPointを使ったプレゼンの場合、メッセージの伝達に視覚素材が使えるのは大きなアドバンテージです。ただこの利点に甘えてしまうと、視覚情報が混雑して真に伝えたいことが不明瞭になることがあります。デザインは複雑になるほど、聴衆が受け取るメッセージはボケていくからです。
さて本題の80周年のデザインは、当然ながら「80th」以外に何も存在しません。意匠的な工夫は「8」の数字だけ。8は私の誕生日でもあり好きな数字です。横に寝かせると「∞」(無限大)。これをメビウスの輪にして、両面を武庫川学院のイメージカラーであるピーコック・グリーンとエンジでまとめた、というシンプルな意匠です。
「そんな簡単なモノなら誰だって描けるじゃないか!」という声が聞こえてきそうです。「そんなスピーチのテーマなら私でも思いつく!」という言葉と同じ響きがします。デザインのコンセプトも、スピーチのテーマも、それを誰よりも最初に形にするという一点が最も難しく、大変な作業なんです。