"I think"を離れて「思う」を豊かに表現する英語プレゼンのコツ
多種多様な「思う」を感じとり、伝わる「強い言葉」を選ぶ。

英語スピーチやプレゼンで「私は~だと思います」と伝える際、無意識に "I think ~" を連発していませんか? つい使いがちなこの表現は、時に話者の言葉から熱意や確信を奪い、どこか他人事のように響かせてしまう原因になります。でも大丈夫。「思う」の背後にある気持ちを英語の動詞に反映させるだけで、あなたの言葉はぐっと強くなります。
まずは自分が「思う」強さを察知することから
「~だと思う」という表現は、日常会話でも頻繁に使われることから、その強さや方向性を意識することはほとんどありません。だからこそ、その違いに敏感になって自分の「思う」気持ちの中身を察知し、それに応じた英語表現を選ぶことが大切です。
「私はこのプロジェクトが成功すると思います。」という表現をいくつかの英語にしてみましょう。それぞれ、ざっくりとした説明を加えました。(1)から(9)へと、次第に「思う」気持ちが強くなる様子が感じられるでしょうか。
- I guess this project will succeed.
→ 単なる推測や「あてずっぽう」に近く、確信度が非常に低い思い方。 - I suppose this project will succeed.
→ ある程度の推測に基づいて、「おそらく」という漠然とした思い方。 - I hope this project will succeed.
→「そうなるといいな」という期待や願望を伴う思い方(必ずしも確信があるわけでない) - I expect this project will succeed.
→ 何らかの合理的な予測や期待を伴っている思い方。 - I believe this project will succeed.
→ 個人的・主観的な確信や信念を伴った思い方。 - I am sure this project will succeed.
→ 主観的ながらも、何らかの根拠や情報に基づき、何かを信じる思い方。 - I am convinced this project will succeed.
→ 何らかの情報や議論の結果として納得し、確信をもった思い方。 - I am certain this project will succeed.
→ 確実な証拠や状況に基づき、ほとんど疑いようがないという思い方。 - I have no doubt this project will succeed.
→ 個人的にまったく疑いの余地がないほどの断定的な思い方。
(1)~(9)の「思う」レベルの違いを眺めた後で、"I think this project will succeed." という表現を見れば、いかに"think"が中立的(neutral)で、悪く言えば「気持ちのこもっていない表現」であるかが分かるでしょう。
これ以上、強く思う気持ちを伝えたいときはどうしますか? その時は、"This project will definitely succeed." と断定すれば良いのです。この表現は既に「思う」のレベルを超えていますが、スピーチやプレゼンでは、強い確証があるなら「思う」という表現すら使わない選択肢もあることを覚えておきましょう。
「思う」の方向性を言葉にしてニュアンスを伝える
強さに続いて、"思う"の「方向性」を考えてみます。上記の(1)~(9)とは方向性の異なる「思う」表現を、以下に3つ挙げてみます。
- I am concerned this project will succeed.
→ 成功してしまうのを不安に感じる思い方。 - I'm afraid this project will succeed.
→ 願ってはいないのに成功してしまうという懸念のある思い方。 - I regret this project will succeed.
→ 残念ながら成功してしまうという複雑な気持ちの思い方。
これらは、先ほどの(1)~(9)の例とは方向性が逆であることに気づくでしょうか。上の[1]~[3]はいずれも、成功を心から願ってはいません。むしろ、プロジェクトの成功を「疎ましく思う」嫉妬やイヤミの表現ともとれます。それほど「思う」という言葉は奥が深いものです。
ここで紹介したサンプルの中に、スピーチやプレゼンで表現すべき自分の気持ちにぴたりと当てはまるものがあれば、ぜひ使ってみてください。簡単なスタートとしては、以下を覚えておくことをお勧めします。
「思う」強さと方向性を知ろう
- 漠然と思う → I [guess / think] that ~.
- 期待して思う → I [hope / expect] that ~.
- 信じて思う → I [believe / am sure] that ~.
- 心配して思う → I [am afraid / am concerned] that ~.
- 残念に思う → I regret that ~.
これらの表現を意識して使い分けるだけで、あなたの「思う」は格段に生き生きしたものに変わります。単なる情報伝達にとどまらず、話者の情熱や確信、そして時には懸念までもが、「思う」の言葉に乗って聞き手の心に響くはずです。
日々の日常会話においても意識的に「思う」の表現を使い分けて、あなたの英語表現力を一段と高めていきましょう!