そのテーマでスピーチをする「動機」に意味がある

動機を共有することで「自分だけのスピーチ」が生まれる

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スピーチにそのテーマを選び、原稿を書き、発表に至るには、そもそものキッカケがあったはずです。その動機こそ、まさに話者の人生の一部。それを聴衆と共有することで、他人が代わりに発表できない「自分だけのスピーチ」が完成します。

動機はスピーチに独自のストーリーを与える

よくよく考えてみると、誰かが舞台に上がっていきなり話し始めるというのは何とも唐突なことです。「なんでこの人はこのスピーチをするのだろう」という聴衆の素朴な疑問に答えるのが「動機」です。

動機はスピーチと話者の実生活を結び付けます。スピーチのイントロ部分でも、本論の冒頭でも構いません。今日「このテーマで話をするに至ったきっかけ」を聴衆と共有することで、聴衆は話者の人生の一端に触れることができます。動機が共有されるからこそ、聴衆は自然に話者のストーリーに引き込まれます。

優れたスピーチというのは、自分にしか語れないストーリーがあるスピーチです。日々の生活の中で得られた「スピーチのきっかけ」には、その話者だけが経験した独自のストーリーがあります。誰かと自分の原稿を入れ替えて、他人が自分の動機を語れば、その時点でそのスピーチは「嘘」になります。自分だけが独占できるストーリーを持てることが、動機を語る強さです。

日常生活での動機づけが真摯なテーマを生む

スピーチ時間の早い段階で動機を共有するのは、当研究室が推奨する構成テクニックのひとつです。その背後には、優れたテーマは日常生活の一端から生まれるはずで、そこには「自分自身の気持ちをスピーチに駆り立てたきっかけ」があるはず、という考え方があります。

スピーチコンテストがあるからそのテーマを勉強したのか、あるいは日々の生活の気づきから問題の真相を知る意欲が生まれたのかは、動機が明らかにします。違う言い方をすれば、そのテーマに向き合う姿勢が本物かどうかが、動機を囲むストーリーに詰まっているということです。

話者が真剣に向き合えるテーマと出会うためにも、自分独自の経験に根ざした「動機」を大切にしてください。いい動機に出会えれば、スピーチの立ち上がりはとてもスムーズになります。

スピーチ作成においてテーマを考えるのはとても大変な作業です。だからこそ、毎日の生活を意識して過ごすことが必要です。その中に、優れたスピーチのテーマとなる「きっかけ」が隠れています。皆さんがユニークな動機と出会えることを願っています。

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